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ミュージアムが都市を再生する: 経営と評価の実践 単行本 – 2003/12/1

3.4 5つ星のうち3.4 12個の評価

商品の説明

商品説明

最近、芦屋市立美術館の処遇が一部で話題になっている。慢性的な財政難の折、市当局は開館して10余年を迎えるこのミュージアムの民間委託を模索、委託先が見つからない場合は売却もしくは閉鎖も止むなしという態度で臨んでいるというものだ。(2004年1月現在)

何ともお寒い話だが、しかしこれは日本のミュージアムが置かれている状況を如実に示すエピソードと言えるだろう。バブル期に各地であれだけ乱造されたミュージアムが、今となっては散財の象徴として目の敵にされている。社会も政府もただ目先の採算を気にかけるばかりで、優れた文化資本のコレクションや膨大な情報が蓄積されたミュージアムを成熟社会の充実に役立てようという本来の認識などどこかに置き去りにされてしまっている。これでは、高い工費を注ぎ込んで建設されたミュージアムも浮かばれまい。

こうした意識の低さを改革するためにも本格的なミュージアム・マネジメントの紹介・導入が期待されるところだが、その点独自の切り口で書かれた本書は多くの示唆に富んでいるといえよう。マネジメントといっても、本書の場合はもちろん採算や効率の話に終始するようなことはなく、ミュージアムを都市や経営との関連で位置付け、行政改革、住民参画、サービス産業の充実などさまざまな切り口からその重要性をとらえていくことを基本姿勢としている。2人の著者はそれぞれ行政評価と文化政策の専門家で、各々の立場やミュージアム観は微妙に異なっているのだが、その相違がまた本書の議論の奥行きを深め、そこで提案されている解決策の説得力を増す効果をもっている。

あとがきによると、現在のミュージアムをめぐる諸問題は「文化vs経済」「ローカルvsグローバル」「政府vs民間」という3つの対立軸を中心に形成されているという。これは図らずもミュージアムが現代社会の縮図であることを物語っている。単に「ハコモノ」を糾弾するだけの議論では、もはや何も論じたことにはならないのである。(暮沢剛巳)

著者からのコメント

文化と経済、都市とミュージアムの共生と再生の戦略論
わが国ではとかくハコモノ行政の象徴と揶揄されるミュージアムですが、NY、ロンドン、パリ、ベルリンなど世界の主要都市は軒並み、ミュージアムに戦略投資をして います。なぜならミュージアムは21世紀の都市再生の触媒装置だからです。この意味は深い。バブルの時期の「集客装置」論ではない。本書は豊富なデータと事例を駆使し、都市におけるミュージアムの存在価値
の大きさを多角的に分析し都市とミュージアムの共生と再生のための経営戦略を示しました。米国で構想し、2年がかかりで調査し、執筆しました。
■目次
  はじめに
第1章 経済、文化、ミュージアムの新たな関係
 1 雑木林経済の時代
 2 21世紀はヒトが希少資源になる
 3 芸術文化は都市再生の切り札となる  他

第2章 都市再生とミュージアム――ニューヨークの事例を手がかりに
 1  ニューヨークの活力を支える芸術文化
 2 芸術文化がもたらす2つの効果
 3 マンハッタンの3大美術館の経営戦略  他

第3章 進化するミュージアム――地域と人々の 潜在力の開拓
 1 ミュージアムの「ビックバン」
 2 自己主張し始めた建物

 3 ミュージアムと地域力  他

第4章 日本のミュージアムの現状と今後
 1  増え続けるミュージアム
 2 ミュージアムの危機
 3 社会・都市問題として捉えるミュージアム  他

第5章 ミュージアムと経営
 1 非営利組織の生産性
  2 ミュージアムの業種特性
 3 眠れる資産の活用1(固定費の回転率向上)  他

第6章 行政主導から地域主導へ――改革の担い手の交代
 1 ミュージアム・バッシン グ
 2 やみくもな行政改革の弊害
 3 政府による支援と関与  他

第7章  ミュージアム評価の時代
 1 評価が求められるわけ
 2 ミュージアムを評価する手法
 3 日本の国公立ミュージアムの評価  他

第8章 改革メニュー――ミュージ アム・リテラシーの向上にむけて
 1 着眼大局、着手小局
 2 集客戦略――マス展開からターゲット集中へ
 3 立地戦略――展示と収蔵の分離  他

おわりに
参考 文献


■著者紹介
 
上山 信一(うえやま・しんいち)

大阪市立 大学教授(大学院創造都市研究科)、慶応義塾大学教授(大学院政策・メディア研究科)を兼務。1957年大阪市生まれ。京都大学法学部卒、米プリンストン大学修士(公共経営)。運輸省、マッキンゼー、米ジョージタウン大学研究教授を経て現職。専門は企業・政府の経営改革。

<主な著書>

『「政策連携」の時代』(日本評論社、第1回NPO学会賞、及び第5回フジタ未来経営賞受賞)
『パブリック・セクターの経済・経営学』(共編著、NTT出版)
『入門ミュージアムの評価と改善』(アム・プロモーション)など。

稲葉 郁子(いなば・いくこ)

フランス国立美術館連合日本法人(RMN Japon)勤務。東京生まれ。上智大学外国語学部卒、米シカゴ大学修士(人文科学)。新聞社の文化事業やニューヨーク近代美術館(MoMA)インターンなどを経て現職。専門は文化政策、美術館学。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版; New版 (2003/12/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2003/12/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 285ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 453231092X
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4532310929
  • カスタマーレビュー:
    3.4 5つ星のうち3.4 12個の評価

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上位レビュー、対象国: 日本

2013年1月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
とかく、文化事業を軽視しがちな地方公共団体において、経済波及効果も期待できる文化事業のあり方とはどのようなものか考える上での一つの参考書になります。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2021年5月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
状態が良かった!
2005年10月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
経営という視点からミュージアムをとらえ、批評を加えた内容で、その点においては目
新しさもあり、的確な分析がなされている部分もある。
だが、全体としては日本の現実を無視して、主として海外の事例を無批判に羅列したに
とどまる記述がほとんどを占め、折角の分析と矛盾した内容に終わっている。
そもそも、「ミュージアムに行く文化」そのものが無い日本において、ニューヨークの
事例など何の参考にもならないといったことについて、認識しているような記述も見受
けられるにもかかわらず、この本全体の内容はそこから抜け出せていない。本の題名か
らしてそうである。テート・モダンはロンドンのサザークを再生させたが、じゃあ同じ
ことを日本でやって、沈滞した都市を再生できるのか?ミュージアムにあれだけの規模
の投資する文化自体が、日本には無いのにである。また、例として上がっているビルバ
オが、当初は盛り上がったものの、継続した投資が大変で、地域にとってのお荷物にな
りかねない現状には触れられていない。
一方、日本のミュージアムの経営上の問題は、明確な経営方針と経営主体の不在、並び
に基本投資が少なすぎる点にあることを分析しながら、対応策として上げられるのが経
費の節減という矛盾した内容なのは、リストラの流行という経済の時流に迎合したもの
だろう。しかも、経費節減と目新しい事業の実施を同時に説く内容には、著者に経営感
覚があることを疑わせるに十分である。
一読の価値があることは認めるが、同時に経済人の言うことは眉に唾をつけて聞かねば
ならないことも認識させてくれる。というか、学問としては詰めが甘すぎる。
15人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2006年8月20日に日本でレビュー済み
■すでに米国では、図書館と並んでミュ−ジアムが民主主義を支える基盤装置として、

学校と同等に重視されているという。

それに比し日本ではミュ−ジアムに対する認識が遅れている。

 そこで都市や経営という文脈の中で、

装置産業、流行依存産業、メディア産業、公共サ-ビスとしての特性を踏まえながら、

今後のミュ-ジアムのあり方を提起する意欲的な書である。

■これからのミュージアムを考えるうえでの問題は、

「文化vs経済」「ローカルvsグローバル」「政府vs民間」という

3つの対立軸を中心に形成されているという。

まさしく“ミュージアムが社会を写す鏡”であることを示しており、

ミュージアム改革が日本全体の構造改革のバロメ−タ−だとも言い切ることにつながっている。

■ 市場経済原則も、また一般的な行政改革の手法をそのまま当てはめることのできないミュージアム。

 民間企業でないからこそ、ミュ-ジアムらしさを維持するために

先端経営のノウハウが必要だと結んでいるのには、

著者の慧眼を示すものといえよう。
6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2004年1月25日に日本でレビュー済み
「liberal arts」は、教養と訳されている。
実はこの辺の言葉に対するセンスのなさが、著者の言う根深いミュージアムの危機であるように感じた。
リベラルアーツは、きっとある人が、幸せに生活をするためにはどうしらよいかを考える、あるいは教える、そういったことを意味していると思う。「自由に生きる術」くらいの意味がきっとリベラルアーツの真意なのだろう。
さて、本書は、従来のミュージアムについて、2つの大きな主張を掲げている。まず、ハコモノであったミュージアムを、コンテンツ、しかも単なる「啓蒙」でなく、人がより豊かに生きるためにインテグレテイトしていくミュージアム像を与えている。そして、ミュージアムにも「経営」の視点が必要であるという点を実例をもってして訴えている。様々な読み込みが可能であろうが、この本を読み終わったとき、きっと気付くと思う。ミュージアムって自分のものだということに。岩波新書『未来をつくる図書館』(菅谷明子、2003年)を併読すると、いいかもしれない。
15人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2010年6月27日に日本でレビュー済み
博物館からという視点で日本の行政改革がいかに偏った内容であるかが良くわかる
本です。単に叩きやすいところを叩き、無駄遣いと称して根こそぎにする。
こんなことをやっていると日本にはいつまでたっても文化が根付くことはないような気がします

勿論博物館側の見せ方も欧米の博物館運用を見て改善する必要もあるでしょう。
しかし大枠で見るとどうも日本の行政による問題がおおきいと感じられました。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2003年12月30日に日本でレビュー済み
この本はミュージアムという地味なテーマを一気に社会と経済の真ん中に引きずり出した。歴史に残る名著となるはずだ。なにしろ専門出版社ではなく、日経新聞社から出した。最初から広く世に問う構えのようだ。マンネリに陥り、展望を失っていた日本のミュージアムマネジメント論に最新の経営理論、企業改革、ニューパブリックマネジメント論を一気に流し込む。本書はまた経済至上主義、芸術至上主義の両方を容赦なく批判し、あたらしい都市とミュージアムの共生モデルを提示する。最近の民営化、独立法人化を「民間手法」の名を借りた単なる行政改革と喝破する筆者の鋭い洞察にも感心。NPOへの大政奉還など新しいアイディアも満載されている。内外の事例分析が行き届き、とにかく手がかかっている。大著になるはずがエッセンスを煮詰め、実務家向けに書いた啓蒙書といえる。本書の根っこにあるのはミュージアムと芸術文化への強い期待と愛情である。
13人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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