まずは、日本、中国、インド3国の政治経済状況を、実に要領よく纏めて解説している著者のジャーナリストとしての手腕に敬服させられる。特に、我国ではあまり正確には理解されていないインドと中国の間の関係については、日本語になった一般書としては本書の右に出るものは無いだろう。21世紀の今後の世界について、もっとも大きく動くのはアジアであろうという著者の予言には説得力がある。
日本人読者として視点で言えば、恐らく英語を通じてしか情報や文献を得ていないと思われる著者が、ここまで日本についての詳細な観察をしたということには驚嘆する。
しかし残念ながら、それにはやはり限界があると思わざるを得ない点も否定できない。就中、いわゆる歴史問題に関する理解の仕方が、あまりにもステレオタイプである。
著者は、極東軍事裁判が公正さを欠いた過った裁判であったことは認めているのだが、その一方で、日本軍が行ったと喧伝される「蛮行」については、それが果たしてどの程度の歴史的真実であったかについてはあまり関心をしめさず、多かれ少なかれ実際にあったことだという大雑把で且つ一方的先入観から踏み出さない。著者は、この点に関する中国の宣伝に甚だしい誇張があることには感づいてはいるものの、靖国神社の遊就館より南京の博物館の展示の発するメッセージに重きを置いて考察を進めていく。その結果、歴史認識問題に関して今後の日本が取るべき姿勢についての著者の提案なるものは、はなはだ現実性が乏しく、かつその効果が疑わしいものでしかない。
日本が著者の提案に従った行動をとっても、そもそも歴史カードを意図的に使う中国共産党政権の”政治的悪意”を払拭することは出来ないだろう。
しかしこの点について著者を責めるのフェアではないだろう。何故なら、戦後の日本人は、この点について外国人に向かって外国語で、何ら体系だった主張や弁明をしては来なかったのだから。だから本書は、欧米人の目からみた戦後日本がどのように見えているかを知るための良書でもある。
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アジア三国志: 中国・インド・日本の大戦略 単行本 – 2008/6/1
『日はまた昇る』のビル・エモットの最新作! 三つどもえの権益争いを繰り広げるアジア3大国――中国、インド、日本の国家戦略を現地取材から描き出し、21世紀アジアの巨大な可能性と、その裏に潜むリスクを解説。
- ISBN-104532353130
- ISBN-13978-4532353131
- 版New
- 出版社日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
- 発売日2008/6/1
- 言語日本語
- 本の長さ401ページ
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商品の説明
著者について
1956年イギリス生まれ。80年に英「エコノミスト」誌ブリュッセル支局に参加。ロンドンでの同誌経済担当記者を経て1983年に来日、東京支局長としてアジアを担当。86年に
金融担当部長として帰国、その後ビジネス部門編集長となり、1993-2006年、同誌編集長を務める。1990年、日本のバブル崩壊を予測した『日はまた沈む』がベストセラーに。2006年には日本の経済復活を宣言した『日はまた昇る』が再び話題となる。
金融担当部長として帰国、その後ビジネス部門編集長となり、1993-2006年、同誌編集長を務める。1990年、日本のバブル崩壊を予測した『日はまた沈む』がベストセラーに。2006年には日本の経済復活を宣言した『日はまた昇る』が再び話題となる。
登録情報
- 出版社 : 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版; New版 (2008/6/1)
- 発売日 : 2008/6/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 401ページ
- ISBN-10 : 4532353130
- ISBN-13 : 978-4532353131
- Amazon 売れ筋ランキング: - 927,489位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 5,904位経済学・経済事情
- - 134,632位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2008年10月19日に日本でレビュー済み
日本、中国、インドの三大国の現状紹介から入って、各国特有の事情や
政経等の現状を分析した後に、各国が抱える問題(中印は環境問題、日中は歴史
問題、そして3カ国の内2カ国(場合によってはそれ以外の中小国も)が絡んで
いる国境問題。台湾や尖閣諸島にカシミール等)に言及。
3カ国について、著者の認識を大雑把にまとめると・・・
中国:ここ30年の経済開放により、ある面では世界の中心に。しかし、透明化と
は程遠い拡大する軍事費、民主化も縁遠い、一党独裁による弊害もまた多し。
日本:アジアを引っ張ってきたが、少子高齢化や非正規雇用の増加、海外からの
資本や人材の流入が少ない、中韓との歴史問題有。
インド:最も勢いが有る。人口も増加基調。民主主義の歴史もある。
が、インフラ不足、公正さとは縁遠い政治・官僚組織等の問題も山積。
そして最終章で今後どうしていくべきか?という提言を述べる、という形に
なっています。但し、どうすべきか?という部分は、アメリカがどうすべきか?
という点に主軸を置いています(経済力でも軍事力でも、やはりアメリカを差し
置くことは出来ないと)。
極論ですが、この本の肝は最終章です。それまでは何故にそういう結論に
至ったのか、を説明している部分になります。なので、時間が無い方は
最終章から読むという手も有ります。
3カ国の分析だけでなく、日中、日印、中印、という2国間の全般的な関係や
問題にも踏み込んでいますので、視野を広げるという意味で読んで損はないと
思います。
政経等の現状を分析した後に、各国が抱える問題(中印は環境問題、日中は歴史
問題、そして3カ国の内2カ国(場合によってはそれ以外の中小国も)が絡んで
いる国境問題。台湾や尖閣諸島にカシミール等)に言及。
3カ国について、著者の認識を大雑把にまとめると・・・
中国:ここ30年の経済開放により、ある面では世界の中心に。しかし、透明化と
は程遠い拡大する軍事費、民主化も縁遠い、一党独裁による弊害もまた多し。
日本:アジアを引っ張ってきたが、少子高齢化や非正規雇用の増加、海外からの
資本や人材の流入が少ない、中韓との歴史問題有。
インド:最も勢いが有る。人口も増加基調。民主主義の歴史もある。
が、インフラ不足、公正さとは縁遠い政治・官僚組織等の問題も山積。
そして最終章で今後どうしていくべきか?という提言を述べる、という形に
なっています。但し、どうすべきか?という部分は、アメリカがどうすべきか?
という点に主軸を置いています(経済力でも軍事力でも、やはりアメリカを差し
置くことは出来ないと)。
極論ですが、この本の肝は最終章です。それまでは何故にそういう結論に
至ったのか、を説明している部分になります。なので、時間が無い方は
最終章から読むという手も有ります。
3カ国の分析だけでなく、日中、日印、中印、という2国間の全般的な関係や
問題にも踏み込んでいますので、視野を広げるという意味で読んで損はないと
思います。
2008年6月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この本の評価は、大雑把に分ければ、読者が経済重視か安全保障重視かで大きく分かれるだろう。
経済を重視すれば、グローバルな相互依存が進む中で、日中印が国家単位で対立する可能性はただのアオリのようにみえる。
安全保障をより重視する人は中国の軍事的な評価に対してより深刻な危機感をもっている人もいるだろう。本書では中国の国防費は公表の150%程度としているが、3〜6倍とみる見方もあるからである。
現在このような見解の対立は日中印それぞれの国内でみられる対立ともなっている。
本書の長所であり欠点は、あまり学術的でない書き方にある。そもそも未来を実証的に書くことはできないが、より深いデータへの反論的検証を行い、実証的にすれば、説得力は増すはずだ。しかし、人を引き付ける題だけでなく、ジャーナリスティックな読み易さという点でもとても面白い本である。
経済を重視すれば、グローバルな相互依存が進む中で、日中印が国家単位で対立する可能性はただのアオリのようにみえる。
安全保障をより重視する人は中国の軍事的な評価に対してより深刻な危機感をもっている人もいるだろう。本書では中国の国防費は公表の150%程度としているが、3〜6倍とみる見方もあるからである。
現在このような見解の対立は日中印それぞれの国内でみられる対立ともなっている。
本書の長所であり欠点は、あまり学術的でない書き方にある。そもそも未来を実証的に書くことはできないが、より深いデータへの反論的検証を行い、実証的にすれば、説得力は増すはずだ。しかし、人を引き付ける題だけでなく、ジャーナリスティックな読み易さという点でもとても面白い本である。
2008年8月17日に日本でレビュー済み
これまで、アジア情勢といえば日本、中国、韓国などを中心に考えがちでしたが、
実は、インドの存在が非常に重いということを気づかせてくれる本です。
特に、日本にとっては、経済面でも軍事面でも政治的にもアジアにおける重要なパートナーとなり得るということを指摘され、この国に対する認識が変わりました。
この本の問題は、文章が非常に読みづらい所。
これでは、読者が途中で離れてしまうかもしれません。
内容が重要なだけにもったいない感じです。
2度、3度と読み解き、じっくりと理解を深めるとよいかもしれません。
実は、インドの存在が非常に重いということを気づかせてくれる本です。
特に、日本にとっては、経済面でも軍事面でも政治的にもアジアにおける重要なパートナーとなり得るということを指摘され、この国に対する認識が変わりました。
この本の問題は、文章が非常に読みづらい所。
これでは、読者が途中で離れてしまうかもしれません。
内容が重要なだけにもったいない感じです。
2度、3度と読み解き、じっくりと理解を深めるとよいかもしれません。
2008年8月31日に日本でレビュー済み
著者のビルエモットは、1989年に日本のバブル崩壊を予見し、2005年に日本の再復興を公言したイギリス人だ。
非常に示唆に富んだ本である。
一言でまとめると、
日本、中国、インド、それぞれ問題(政治、歴史、戦争)をもっているが、結局この三大国が如何に連携し、アジアの安定のかじを取れるかが重要になってくるとのことだ。
ただ、国際政治の難しさは誰もが知っている。
ちょっとした事件が引き金でマクロ政治経済を動かす。
たとえば、明日金正日が死んだらどうなるか、後継ぎが決まらず軍事政権が独裁になった場合、核を持って何をするかわからない。
アメリカで911級のテロがあり、新大統領がパキスタン侵攻を決めたらどうなるだろうか。インドパキスタン侵攻の誘惑に狩られるだろう。
中国の経済がこのまま沈んでいき、国民が天安門事件以来のデモを勃発させたときどうなるだろうか。中国は世論に押され、北朝鮮侵攻、韓国侵攻、台湾侵攻、または政治の混乱をうけ、チベット/ウィグル地区の反乱デモが起きるかもしれない。
日本のねじれ国会が続き、政治停滞とともに経済の急激な減速・・・。ロシアの新興。大規模な天災。
などなど、何が引き金となって、国際政治を動かすかは誰も予測できない。
ただ、彼の提案としては日本、中国、インド。このアジアの大国がリーダーシップを取って、アジアの平和を保つべきだとのこと。
一点、気になっていたことが、この本を読んでやや解決された。
なぜ、昨今、新興国の発展が目覚ましいのか。
1980/90年代に起こってもよかったが、なぜ今なのか。
それはおそらくイラク戦争だろうということ。
ここで資源の価格のバランスが崩れ、アメリカは軍事費用がかさみ、資源国の台頭が行われた。また、技術は大きく発展することはなかった。だから、模倣するBRICsにチャンスを与えてしまった。技術が発展しないから、先進国の人々は金を使わなかった。新興国の人々におふるの技術を売ることになった。これが市場が新興国に移った理由であろう。
アメリカのリーダーの一決断によって、左右されてしまう世界の危うさ。そのリーダー誰が決めているかというとアメリカ人だ。
オバマか、マケインか・・・・。
接戦である。
オバマもクリントンとの戦いで少々疲弊しているようにも見える。
最近はなぜか平凡に見える。
常にメディアにさらされていることの不利益を感じているに違いない。
マケイン氏が当選した場合どうなるか。
彼はベトナム戦争で散々ロシアに苦しめられた軍事よりの人間だ。
ロシアと一戦交える可能性もある。その時、日本は、、、、
色々なことを考えると、世界の危うさを感じずにはいられない。
東アジア、西アジア、どちらとも危ない地域である。
この地域の平和が世界の平和である。
この地域の中で最も豊かな日本が隣国と協調してリーダーシップを如何にとれるかが、世界の平和の如何を握っていると言っても過言ではない。
非常に示唆に富んだ本である。
一言でまとめると、
日本、中国、インド、それぞれ問題(政治、歴史、戦争)をもっているが、結局この三大国が如何に連携し、アジアの安定のかじを取れるかが重要になってくるとのことだ。
ただ、国際政治の難しさは誰もが知っている。
ちょっとした事件が引き金でマクロ政治経済を動かす。
たとえば、明日金正日が死んだらどうなるか、後継ぎが決まらず軍事政権が独裁になった場合、核を持って何をするかわからない。
アメリカで911級のテロがあり、新大統領がパキスタン侵攻を決めたらどうなるだろうか。インドパキスタン侵攻の誘惑に狩られるだろう。
中国の経済がこのまま沈んでいき、国民が天安門事件以来のデモを勃発させたときどうなるだろうか。中国は世論に押され、北朝鮮侵攻、韓国侵攻、台湾侵攻、または政治の混乱をうけ、チベット/ウィグル地区の反乱デモが起きるかもしれない。
日本のねじれ国会が続き、政治停滞とともに経済の急激な減速・・・。ロシアの新興。大規模な天災。
などなど、何が引き金となって、国際政治を動かすかは誰も予測できない。
ただ、彼の提案としては日本、中国、インド。このアジアの大国がリーダーシップを取って、アジアの平和を保つべきだとのこと。
一点、気になっていたことが、この本を読んでやや解決された。
なぜ、昨今、新興国の発展が目覚ましいのか。
1980/90年代に起こってもよかったが、なぜ今なのか。
それはおそらくイラク戦争だろうということ。
ここで資源の価格のバランスが崩れ、アメリカは軍事費用がかさみ、資源国の台頭が行われた。また、技術は大きく発展することはなかった。だから、模倣するBRICsにチャンスを与えてしまった。技術が発展しないから、先進国の人々は金を使わなかった。新興国の人々におふるの技術を売ることになった。これが市場が新興国に移った理由であろう。
アメリカのリーダーの一決断によって、左右されてしまう世界の危うさ。そのリーダー誰が決めているかというとアメリカ人だ。
オバマか、マケインか・・・・。
接戦である。
オバマもクリントンとの戦いで少々疲弊しているようにも見える。
最近はなぜか平凡に見える。
常にメディアにさらされていることの不利益を感じているに違いない。
マケイン氏が当選した場合どうなるか。
彼はベトナム戦争で散々ロシアに苦しめられた軍事よりの人間だ。
ロシアと一戦交える可能性もある。その時、日本は、、、、
色々なことを考えると、世界の危うさを感じずにはいられない。
東アジア、西アジア、どちらとも危ない地域である。
この地域の平和が世界の平和である。
この地域の中で最も豊かな日本が隣国と協調してリーダーシップを如何にとれるかが、世界の平和の如何を握っていると言っても過言ではない。
2008年8月30日に日本でレビュー済み
本書では、中国・インド・日本の現状を説明し、環境問題・歴史問題・軍事問題とそれぞれの立場を説明し、細かく分析している点は高く評価できる。
しかしながら、それだけであり、それ以上でも、それ以下でもない。サブタイトルに「中国・インド・日本の大戦略」とあるが、意味不明である。分析し切れていないからである。
あと数十年先に出版される歴史教科書のネタ本のような感じである。
本書で、中国・インド・日本の三つ巴の未来予想をすることはかなり厳しい。
しかしながら、それだけであり、それ以上でも、それ以下でもない。サブタイトルに「中国・インド・日本の大戦略」とあるが、意味不明である。分析し切れていないからである。
あと数十年先に出版される歴史教科書のネタ本のような感じである。
本書で、中国・インド・日本の三つ巴の未来予想をすることはかなり厳しい。
2008年7月13日に日本でレビュー済み
元エコノミスト編集長のビル・エモットの新刊。原題はRivals。彼の母国のイギリスの外交政策の基本は大陸国家の勢力を互いに争わせることにあるといえるが、このエモットの新刊も「アジア人どうしを抗争させることで、シーパワーであるイギリスや米国が漁夫の利を得る」ことを狙いに編まれた戦略文書だと観るべきだろう。アジアの事を欧米の論者が論じる場合、そこには意図的にコントローラーである欧米の戦略について触れていないことがあるが、本書もその一冊だろうか。まず、アジアで日本・インド・中国が相争う可能性がある未来を提示することは、その力学を外側から利用しようとする勢力があり、その未来はその勢力の願望にそっているという可能性があると予測する必要がある。書籍では時には論じられていない箇所にこそ重要な点がある。筆者は最後で、進言(提言と訳す方が適切だろう)を掲げているが、ここにはアメリカへの助言が含まれている。エモットは日本をよく知っているが、必ずしも日本の繁栄を願ってこの本を書いたわけではなく、アングロ・アメリカンの世界戦略の一環として日本を利用することを狙っていることを忘れては為らない。
ただ、問題は訳文が非常に紋切り型の訳語を当てはめており、非常に読みづらいということである。訳者の伏見氏は、別の訳書で国際理解促進図書・優秀賞を受賞したと奥付にあるのだが、何度か読み直さないと意味が分かりにくい箇所がかなりあった。例えば、1頁の「二〇〇一年九月一一日の同時多発テロから二年のあいだに、ブッシュ大統領は、中東と中央アジアの改革という、とてつもなく雄大な一大外交戦略を構築したと見られる」という部分は、かなり下手な訳である。これは意訳すると、「二〇〇一年の九月一一日に起きた同時多発テロの二年後には、ブッシュ大統領は、中東と中央アジア地域のの民主化推進というかなり大胆な外交戦略を打ち出し、遂行していた」ということだろう。少なくとも「見られる」(seemsか?)というのは不要だろう。他にも仕事を抱える売れっ子訳者だけに仕方ないのかも知れないが、訳出に雑な部分が多く見られ、これでは原書を読んだ方が良いのではないかと何度か思ったほどだ。
ただ、問題は訳文が非常に紋切り型の訳語を当てはめており、非常に読みづらいということである。訳者の伏見氏は、別の訳書で国際理解促進図書・優秀賞を受賞したと奥付にあるのだが、何度か読み直さないと意味が分かりにくい箇所がかなりあった。例えば、1頁の「二〇〇一年九月一一日の同時多発テロから二年のあいだに、ブッシュ大統領は、中東と中央アジアの改革という、とてつもなく雄大な一大外交戦略を構築したと見られる」という部分は、かなり下手な訳である。これは意訳すると、「二〇〇一年の九月一一日に起きた同時多発テロの二年後には、ブッシュ大統領は、中東と中央アジア地域のの民主化推進というかなり大胆な外交戦略を打ち出し、遂行していた」ということだろう。少なくとも「見られる」(seemsか?)というのは不要だろう。他にも仕事を抱える売れっ子訳者だけに仕方ないのかも知れないが、訳出に雑な部分が多く見られ、これでは原書を読んだ方が良いのではないかと何度か思ったほどだ。
2008年7月12日に日本でレビュー済み
日中印の三国の現状と将来について、経済から安全保障までを幅広く論じる。といって、純粋に三国だけで終わる話ではなく、韓国、北朝鮮、パキスタンや米国なども含めたボリュームある内容となっている。
ただし、手を広げすぎた分、論点がきわめて不明瞭、かつ無意味に冗長なものとなっている。しかもどの一国分をとっても、専門家の書き下ろした新書一冊にすら及ばない中途半端さ。これならそれぞれ興味のある国に関する本を2,3冊読むほうがはるかに有意義だ。
ただし、手を広げすぎた分、論点がきわめて不明瞭、かつ無意味に冗長なものとなっている。しかもどの一国分をとっても、専門家の書き下ろした新書一冊にすら及ばない中途半端さ。これならそれぞれ興味のある国に関する本を2,3冊読むほうがはるかに有意義だ。