本著作集には、串田孫一・中村雄二郎訳の『幸福論』が収められてい
る。『幸福論』には様々な訳があるが、本著作集のものはどちらかと
いうと、岩波文庫や集英社文庫のものよりも、柔らかくゆるやかな印
象。ただし訳語は古い（コーヒー茶わん、匙、腰掛け、大供など）。
その点が気にならなければ、若い人にもオススメ。
『幸福論』はアランの著書で最も知られた幸福になるための実践哲学。
どのように思考し行動していけばよいのか、が書かれている。まずは、
本書を読み実践してからでないと、その真の価値はわからないだろう。
読み始める前には、本書から自分が学ぶことを「決意」しなければな
らない。プラトンやアリストテレスの著書であれ、この「決意」がで
きるかどうかが重要であり、そこから学ぼうと思わなければ（誓わな
ければ）、なにも学べないとアランは繰り返し説く。
本書と同じ訳者の『幸福論』が白水Uブックスとして出版されている。
こちらの方がオススメ。というのも、本著作集版（1981年8月10日発
行）は誤字脱字が多いため、購入の際には注意が必要。ちなみに気が
づいた誤謬は以下の通り。
09頁 （誤）札儀 → （正）礼儀
79頁 （誤）気嫌 → （正）機嫌
83～85頁 （誤）魔法使 → （正）占い師
87頁 （誤）祖父 → （正）祖母
87頁 （誤）燕 → （正）雲雀
94頁 （誤）因難 → （正）困難
107頁 （誤）上気嫌 → （正）上機嫌
113～114頁 （誤）気嫌 → （正）機嫌
139頁 （誤）野産 → （正）野蛮
167頁 （誤）考よ → （正）考えよ
172、203、204、220、222、225、226、228，241、242頁
243、251、271、280頁 （誤）気嫌 → （正）機嫌
251頁 （誤）不作法 → （正）無作法
287頁 （誤）証判 → （正）評判
【追記】（2022．10．26）
187頁 （誤）十一月二日の万霊節つまり死者の祭
→（正）十一月二日の「死者の日」
フランスでは十一月一日は諸聖人の日（万聖節）、二日は死者の日
内容はオススメなので、☆は５つ。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
何か問題が発生しました。後で再度リクエストしてください。
この著者の人気タイトル
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
