セリアAでよく見聞きする以上に(当然ながら)イタリアの地名や多くの人名の響きが実に新鮮だった。(チェーザレ・ボルジアも、もちろん登場)
マキャヴェッリの臨終での夢を語る場面から始まる、その生涯を著した本書、著者がまるでマキャヴェッリを旧知の友のように、あるいは尊敬する恩師のように書き記すその語り口が絶妙でとても面白かった!
その滑らかな語り口は、武田好先生の訳に負う所がとても大きいと思うほど、大変に読みやすいものだ。
しかし、最初はマキャヴェッリが生きた時代の複雑極まるイタリア情勢が飛び込んできて、なかなか馴染めず難儀したが、自然に理解することができて途中から止まらなくなった。
その最晩年、フィレンツェが共和国に戻った際、すでに「君主論」は多くの市民に読まれ、圧政の書を書いた者として誤解を受け、メディチ家による追放以来の悲願の書記官復帰とはならなかったニッコロ・マキャヴェッリ・・・。
現代までも使われる「マキャヴェリズムという妖怪のような言葉」の当事者としての実像は、身分は低いが誠心誠意イタリア、フィレンツェを愛し、祖国を亡国から救おうと東奔西走し、失意と絶望の長い隠遁生活を過ごし、多くの女性を愛し続け、涙を微笑みに隠し、激動の時代を歩んだ男なんである。
「彼は歴史と喜劇を著したが、一つの悲劇も書かなかった。悲劇とは自分の人生であり、そのことに彼は最終章で気づいたのだった」
「『戦争の技術』は、(中略)秩序正しいいかなる王国も、共和国も、自国の臣民や市民が、戦争を自分たちの技術として用いることを、つまり、職業軍人になることを許さない。戦術の目的は、戦争ではなく防御であり、統治者は、臣民や市民を守るために《平和を愛し、戦争の仕方を知って》いなければならない、とマキャヴェッリは説く」
「年を重ねても、人生の浮き沈みがあっても、彼は変わっていなかった。それはいつもの彼だった。イタリアの惨状に心を痛め、君主の愚行や臆病さに耐えられず、外敵をアルプスの向こう側へ追いやってしまいたいという願望を、変わらず持っていた」
ニッコロがこの世に戻ったなら、彼ならそのあまりうれしくない方の高い評価を、どう思うだろうか?
本書を読んで人間味溢れる実像にふれて欲しいと思う。
興味のある方、中古お安いので是非どうぞ!
P.S.
本書の表紙、肖像画の右目が折れて、結果読書中ずうっとその目に見つめられることになる本作り・・・、よもや偶然ではあるまいが実にオモシロイ。
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マキァヴェッリの生涯: その微笑の謎 単行本 – 2007/6/1
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- 本の長さ298ページ
- 言語日本語
- 出版社白水社
- 発売日2007/6/1
- ISBN-104560026254
- ISBN-13978-4560026250
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商品の説明
出版社からのコメント
マキァヴェッリは1469年、フィレンツェに生まれる。29歳のと
きフィレンツェ共和国政府の第二書記官に就任。共和国政府の外交使節として、
大いに活躍する。しかし共和政府が倒れメディチ家の政権が誕生するにおよん
で、彼は官職を追われ、フィレンツェ郊外の山荘にひきこもり、不遇のうちに多
くの著作を書き続けた。
古典的名著『君主論』の作者として知られるマキァヴェッリではあるが、この
他のことについては意外と知られていない。たとえば彼が書いた喜劇『マンド
ラーゴラ』は、イタリア文学史上の傑作戯曲であるとか、官職を退いてからの生
涯はあまり陽の光があたるものではなく、山荘前の居酒屋に夜ごとでかけてはワ
インを飲んでいたとか。ちなみに彼の名前を冠したキアンティワインがある。
本書はマキァヴェッリの残した膨大な報告書や書簡をもとに、その人間性を親
しみをこめて読者に伝えようとしている。彼の残した文章の随所に見られる微笑
の意味するところは一体何なのか。その微笑には、彼の政治思想よりもはるかに
深遠な、生きるための偉大な知恵が含まれている。
こうして浮かび上がってくるマキァヴェッリ像は、とても新鮮なものであり、
マキァヴェリズムの始祖という悪名でしか知られることのない彼が、じつは個人
的な利益よりもつねに国益公益を優先させた人であることを改めて知ることがで
きるのである。マキァヴェッリの生涯とその時代背景を知るうえでの好著。
きフィレンツェ共和国政府の第二書記官に就任。共和国政府の外交使節として、
大いに活躍する。しかし共和政府が倒れメディチ家の政権が誕生するにおよん
で、彼は官職を追われ、フィレンツェ郊外の山荘にひきこもり、不遇のうちに多
くの著作を書き続けた。
古典的名著『君主論』の作者として知られるマキァヴェッリではあるが、この
他のことについては意外と知られていない。たとえば彼が書いた喜劇『マンド
ラーゴラ』は、イタリア文学史上の傑作戯曲であるとか、官職を退いてからの生
涯はあまり陽の光があたるものではなく、山荘前の居酒屋に夜ごとでかけてはワ
インを飲んでいたとか。ちなみに彼の名前を冠したキアンティワインがある。
本書はマキァヴェッリの残した膨大な報告書や書簡をもとに、その人間性を親
しみをこめて読者に伝えようとしている。彼の残した文章の随所に見られる微笑
の意味するところは一体何なのか。その微笑には、彼の政治思想よりもはるかに
深遠な、生きるための偉大な知恵が含まれている。
こうして浮かび上がってくるマキァヴェッリ像は、とても新鮮なものであり、
マキァヴェリズムの始祖という悪名でしか知られることのない彼が、じつは個人
的な利益よりもつねに国益公益を優先させた人であることを改めて知ることがで
きるのである。マキァヴェッリの生涯とその時代背景を知るうえでの好著。
登録情報
- 出版社 : 白水社 (2007/6/1)
- 発売日 : 2007/6/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 298ページ
- ISBN-10 : 4560026254
- ISBN-13 : 978-4560026250
- Amazon 売れ筋ランキング: - 513,168位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 3,021位政治入門
- - 27,532位歴史・地理 (本)
- - 78,760位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2012年12月20日に日本でレビュー済み
著者のマウリツィオ・ヴィロリは英米圏で活躍する、今働き盛りの政治思想史家・マキアヴェッリ研究者の一人である。それゆえこの本もマキアヴェッリの伝記としては、無難に要領よくその生涯とそこから浮かび上がる思想をまとめている点は評価できる。ただどう言ったらいいのだろう、英語原書も読んだのだが、記述がまるで気の抜けたビールみたいだ。どうんな内的動機があってヴィロリがこの本を執筆したくなったのかよくわからない。書かれていることは既存の多くのマキアヴェッリ伝の内容を出るものではないし、そこに伺われるマキアヴェッリ政治思想の解釈も平凡で常識的なものだ。みすずから出ているブリヨンの『マキアヴェッリ』の方が、翻訳に難はあってもしみじみとして情感を感じる。
「いかなる時にも私が笑い、歌うのは、そうする他にしようがないから」という有名な一句をモチーフに、彼の有名な肖像画に伺えるような〈マキアヴェッリの微笑〉の謎を解明したいと言うことらしいが、世の愚劣さに翻弄されながら世に交わり世に絶望せず、それでいて世を突き放した視点を持つが故の彼の苦い〈微笑み〉についてなら、リドルフィの『マキアヴェッリ伝』における"strico, comico, tragico"というマキアヴェッリの肖像以来それ自体言い古されてきたことであって、あまり新味が感じられない。特に版権料の重荷もあって、学術書の翻訳の出版が困難な昨今に白水社が、他の書物の翻訳に優先してこの本の翻訳を出さなければならなかった理由もよくわからない。
訳文にも若干疑問が残る点もあったが、翻訳という仕事の性質上避けられない瑕瑾だろう。信頼が置けかつ平易で、近年の研究をそれなりに取り込んだ標準的マキアヴェッリ伝を読みたいという人にとって、読んで損はないとは思う。
「いかなる時にも私が笑い、歌うのは、そうする他にしようがないから」という有名な一句をモチーフに、彼の有名な肖像画に伺えるような〈マキアヴェッリの微笑〉の謎を解明したいと言うことらしいが、世の愚劣さに翻弄されながら世に交わり世に絶望せず、それでいて世を突き放した視点を持つが故の彼の苦い〈微笑み〉についてなら、リドルフィの『マキアヴェッリ伝』における"strico, comico, tragico"というマキアヴェッリの肖像以来それ自体言い古されてきたことであって、あまり新味が感じられない。特に版権料の重荷もあって、学術書の翻訳の出版が困難な昨今に白水社が、他の書物の翻訳に優先してこの本の翻訳を出さなければならなかった理由もよくわからない。
訳文にも若干疑問が残る点もあったが、翻訳という仕事の性質上避けられない瑕瑾だろう。信頼が置けかつ平易で、近年の研究をそれなりに取り込んだ標準的マキアヴェッリ伝を読みたいという人にとって、読んで損はないとは思う。