お届け先を選択
Kindleアプリのロゴ画像

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません

ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。

携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。

KindleアプリをダウンロードするためのQRコード

何か問題が発生しました。後で再度リクエストしてください。

印象派はこうして世界を征服した 単行本 – 2009/7/1

4.4 5つ星のうち4.4 16個の評価

商品の説明

出版社からのコメント

【競売人(オークショニア)が明かす美術史の舞台裏】
 世界中で最も人気のある美術、それが印象派であることはまちがいない。展覧会には行列ができ、美術館は競うように作品を収蔵し、印象派絵画を個人所有している人は<お金持ち>とみなされる。十九世紀の誕生時には人々の嘲笑を浴びたというのに、わずか百数十年の間になぜこれほどダイナミックな変化が生じたのか。その問いに答えるのが本書である。
 主役は、コレクター、批評家、画商、オークション会社の競売人たち。前半は、仏・米・独・英など、国によって異なる印象派受容に焦点があてられ、当時の社会的・政治的状況、他国とのかけひき、国民性の違いを目の当たりにできる。後半では、戦後、印象派絵画高騰の牽引力となった二大オークション会社(サザビーズとクリスティーズ)の奮闘ぶりが赤裸々に明かされる。競売人として富裕なコレクターと身近に接し、その心理をつぶさに観察してきた著者の語り口は、率直であると同時に英国人らしい皮肉なユーモアに満ちて、痛快である。
 絵の値段というわかりやすいバロメーターも含めた<受容の変遷>にふれることで、印象派ファンもアンチ印象派も楽しめる一冊。図版76点掲載。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 白水社 (2009/7/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2009/7/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 278ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4560080011
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4560080016
  • 寸法 ‏ : ‎ 13.8 x 2.2 x 19.3 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.4 5つ星のうち4.4 16個の評価

著者について

著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
フィリップ・フック
Brief content visible, double tap to read full content.
Full content visible, double tap to read brief content.

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう

カスタマーレビュー

星5つ中4.4つ
5つのうち4.4つ
16グローバルレーティング

この商品をレビュー

他のお客様にも意見を伝えましょう

上位レビュー、対象国: 日本

2019年5月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
"それは、観る人を心地よくさせ、自信をもたせてくれる絵画でもある。それこそが、印象派絵画の連勝の秘訣なのだ。"二大オークション会社の元競売人、画商、コメンテーターと様々な顔をもつ英国人の著者により皮肉じみて語られる印象派の【価値の変遷】は多角的な視点を教えてくれる。

個人的には、タイトル通りに印象派がフランスはもちろん、アメリカ、ドイツ、イギリス、日本といった国々に一方的ではなく【相互の関係性】の中で受容されていった過程が、当時のコレクターや画商から引用された言葉を使って丁寧に描かれていて、どうしても【創造主である芸術家】よりの視点で話さざるを得ない美術史を語る上での別な補助線、視点として参考になり刺激的でした。(後はより印象派のメアリーカサット、ピサロに親近感を覚えるようになりました)

印象派が好きな方はもちろん、印象派が"何となくずっと頑張っていたら認められた"のではなく、ちゃんと"理由や思惑があって"認められていった事を知りたい誰かにオススメ。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2015年12月2日に日本でレビュー済み
モネやルノアール等、印象派絵画は日本で特別展を行っても人気が高い。
しかし、印象派が出た当初は「印象的に下手くそだ」と酷評されたように、決して高評価で始まったわけではない。
では、なぜ現在のように印象派がもてはやされるようになったのか。
本書は、絵画評価としてではなくバイヤーの視点から、印象派絵画の変遷を見せてくれる。

印象派は登場時、絵画世界の中では革新的なものであったが、しかし印象派絵画の擁護者は必ずしも政治的に革新の側に属していたわけではない、というのは興味深い指摘だと思った。
例えば、初期の前衛芸術擁護者で、現在のスタイルを産み出した画商でもあるデュラン・リュエルは、政治的には非常に保守的であったという。
フランス内以外にもう一つのカギを握っていたのは、アメリカの資産家であった。
アメリカの辺境さ、そして急激な近代化による即物性と競争性は、フランスの穏やかな明るさと快楽性に魅かれていた。
当のモネでさえ「ヤンキーの国」に作品が流れて行ってしまうことを快く思っていなかったが、しかしそのアメリカでの評価はフランスでの扱いにも影響を及ぼしている。
印象派の「ある種の自然への忠実さ」を評価する一方、堕落と奔放の象徴として批判も行われたドイツ、英仏間の対抗心に加え印象派を「粗雑」としてなかなか評価しなかったイギリス、そしてアメリカに一世紀遅れてバブル時にとにかく投機的に買いあさった日本、世界各地でどう受容されてきたかも紹介されている。

印象派が「金持ちが飾っておく象徴」となったのには、いろいろな理由が重なっている。
これまでの絵画と違い、印象派は「色彩が明るく」「タッチが自由で仕上げはなされておらず」「主題は身近・凡庸で難しい問題を扱わない(鉄道とかの絵が多い)」という特徴があった。
初期にはこれらの要素は否定的に言われてきたが、印象派の興隆においてはこれらが逆に肯定的評価の要因となった。
そして、ピカソ等の前衛芸術に挟まれて「新しいが分かる作品」であること、来歴がはっきりしていて贋作をつかまされるリスクが低いこと、もまた収集対象としての価値を高めている。

オークションの確立も、絵画の流れに大きく影響している。
サザビーズ・ロンドンが行ったゴールドシュミットの印象派コレクション7点だけのオークションは、最高価格を三度更新するなど、歴史に残るものとなった。
同時にこれは、単なる競りの延長で絵画を扱っていた状況から、高級なものを取り扱うオークションへと変容させるものとなった。
オークション会社が絵画取引を引っ張る一方、手数料率を巡るカルテルなどの負の側面の事件もまた取り上げられている。

日本でも人気の印象派の変遷が、バイヤー視点で見れて興味深い。
ただ、印象派だけで絞るなら絵画としての評価も欲しいし、バイヤー視点で行くにしては絵そのものに偏りすぎていてバイヤー世界の展開は全体的な形では見えてこない気もした。
そこら辺はまとめ方を変えるともう少し見えるのかもしれない。
あと、現在の高価格絵画を見ると、ピカソやゴッホ、クリムト、ベーコンなどで、印象派は少なく(「世界で最も高額な絵画のランキング」[・・・])、状況変化があったのかもと思わされる。
ともあれ、絵画に関心がある人は読んでおいて悪くない本だと思う。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2021年6月5日に日本でレビュー済み
翻訳家の中山ゆかりさんの本は、美術本としての重厚感があって時間をかけて読みたい本が数々あります。
本作も同様です。著者のフィリップ・クックは、サザビーズの印象派&近代美術部門のディレクターだった方です。
既知の通りマーケットとしての印象派はパリ発、イギリス、アメリカ育ちの領域です。日本の書籍でも数多く印象派を取り扱ったものはありますが、どうしても表層的で、同じような内容が多いと感じていました。一方、著者は、史実を語るにしても本家としての自信に溢れています。例えば、1987年安田火災によって落札されたゴッホ「ひまわり」の落札背景。また、斉藤了英氏によるルノワール、ゴッホの作品の落札の裏側も書かれています。当時、世の中の一般的なニュース(社会報道)として、かなり大きく取り上げられていました。日本に関係することなので特に興味を惹かれましたが、それ以外の話もどれも本家でないと書けないことばかりです。

文化的な背景を理解していないとどうしても分からないことってあると思います。ゴッホが真似した浮世絵さえ、我々から見るとちょっと違うのではと思うところがあります。逆もしかりだと思います。本当の意味では、作品を理解できないのかなと・・・・。

経験値に基づく印象派解説を書くべき人が書いた本。そんな読後感です。よってとても良い勉強になりました。
とは言え、やっぱり印象派は欧米の芸術文化だなと改めて感じました。
「ひまわり」は例外にしろ日本に来た印象派等の末路を知る今では、絵画を購入する意味を知らずにノリで購入して痛い目にあった感は否めません・・・・。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2012年11月12日に日本でレビュー済み
光に煌めく七色の色彩。気楽で身近な幸福感。
印象派のような、カラフルで、親しみやすい絵画は、人気があって当然だと思います。
ルノワールにとっての“美女”は、世界中の人にとっても“美女”のはず。
よって本来、「異端」であるはずがない。
たとえ、「近づいて見れば、支離滅裂なだけ」(第1章の表題)だったとしても。
たとえ、下層の人々を生々しく扱う“下品”な絵だったとしても、誰もが上流階級ではないし、そんな事情なんて、外国人や後世の人間には関係ありません。

だから、日本やアメリカのような、アカデミズム絵画の“伝統”を持たず、ヨーロッパ礼賛的な国においては、印象派は障壁なく「征服」できた。
しかし、“伝統”と、独自の価値観やヒエラルキーをもつ国、すなわち、本国フランス、ドイツ、イギリスでは、ナショナリズムとも絡んで、「征服」は一筋縄ではいかなかった。
そのあたりの事情を、各国の経済的状況や、“ステイタスや投資としての絵画”という問題とからめて、わかりやすく知らせてくれる好著だと思います。

確かに本書は、絵の話ではなく、受容の歴史や“カネ”についての本です。
しかし、印象派絵画を愛する者にとって、本書を読んで眼前に浮かぶのは、“カネ”ではなく、“モネ”や“マネ”であり、あの素晴らしい絵の数々でしょう。
ちょっと見飽きた感じの、西洋美術館(上野)のモネの常設絵画も、なんだか愛おしくなってくる、そんな読後感でした。
 
 
(以下ネタバレです)

<第1章>
中東の富豪と向き合う著者。
驚いたことに、1世紀以上を超えて、昔ながらの印象派への批判が、またしても繰り返されます。
何が問題なのか?

<第2章>
本国フランスでは、ジェロームに代表されるサロン(官展)の主流から、規範破りとして排撃され、1875年には「鍵盤の上を歩く猫のメロディー」(第2章の表題)と揶揄されます。
(ちなみに、サロンに対抗して開催した、第1回「印象派展」は1874年。)
しかし、デュラン=リュエルなどの、変わり者の“画商”の存在が、粘り強く状況を変えていきます。
<第3章>
「旧世界の先入観からは自由だった」、新大陸アメリカでは、フランス文化へ熱狂的な憧れを示し、きわめて早くから収集を開始しました。
「新しい世界のための新しい美術」(第3章の表題)としての印象派絵画は、“最初に見た時の驚き”さえ克服すれば、簡単に受容されるものでした。
すでに1886年には、ニューヨークで大規模な印象派展が開かれます。
モネやドガが、大人気だったとか。
大金持ちの虚栄心や免税措置などもあって、印象派絵画の大市場を形成します。

<第4章>
普仏戦争(1970-71)に勝利し、経済力を蓄え、“物質的”には勝ったドイツですが、フランスへの“文化的”劣等感から、「文化的に正しい行為として」(第4章の表題)、印象派を受容する人々もいました。
ただし、皇帝やヒトラー等、権力者や保守派に支持されず、「非愛国的」として、政治的な危険を伴うものであったとされます。
コレクターには、ユダヤ人が多かったとも。
<第5章>
イギリスにおける受容は最も遅く、例えば実業家コートルードが収集を始めるのは、アール・デコ時代の1920年代になってからです。
アナーキーなものへの拒絶、「現代のバビロン」たる“パリの不道徳性”を批判する偽善などもあったようです。
ある貴族は、印象派絵画がナショナルギャラリーに展示されるくらいなら、「セント・ポール大聖堂の異教徒たち」(第5章の表題)の方がましだと、1914年に宣べます。
自らアカデミズム絵画に反発した、ラファエル前派のロセッティやハントさえ、嫌悪を情を隠しません。

<第6〜8章> 
最後の1/3からは話が一変して、市場とオークションの話になります。
第6章「奔走する競売人たち」は、1950年代から60年代の話で、「チャトウィンの髪とバサーストの鼻」といった、サザビーズとクリスティーズの競争も語られます。
第7章「価格の向こう側」では、1970年代から80年代にかけて、値上がりを続ける美術市場において、投資ファンドが売り手になる状況が語られます。
そして、バブル景気に乗って参入した「日本人」の話題となります。もちろん、ゴッホの「ひまわり」の話も出ます。
第8章「永遠性の象徴」では、1990年代から現在まで続く傾向が語られます。
サザビーズとクリスティーズの“談合”という、ショッキングな事件も出ます。
印象派絵画は、今でも「連勝」し続けているのです。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2009年12月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
芸術を鑑賞者側から眺めるだけでなく、ウラ側からも見ることができる、不思議な一冊でした。

美術の専門家ではない自分には難しいかなと思って読み始めましたが、ひきつけられてあっという間に読んでしまいました。
白黒ですが、ふんだんに絵や写真が掲載されている点も、評価できます。
一度でも絵の展覧会に足を運んだことのある人には、楽しんで読める本です。

意外なエピソードが暴かれていて、本当かしら、と少し疑ってしまう面もありましたが。
そんなウラ話も十分堪能できました。
6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート