著者のキャロライン・ティリーさんは、食物史を研究する傍ら、食品をモチーフにした芸術作品を作って20年、という女性。
牡蠣がどういう2枚貝で、どういう一生を送るか、どういう海に住んでいるか、から始まり、
古代の牡蠣、アジアの牡蠣、中世から19世紀の牡蠣、現在の牡蠣の乱獲や規制を語り、
絵画に現れる牡蠣、性的なものの象徴、あるいは媚薬としての牡蠣についても詳しく記し、
最後に未来の牡蠣、生態系を再生する希望の牡蠣まで進んできて終わる。
牡蠣は美味しい。それはそうだけど、この本を読んでびっくり、そうなの?
と初めて知った日本の事柄が出ていました。
日本はもともと真珠の養殖と輸出はしていたけれど、牡蠣の輸出の記録はない、とティリーさんは書いています。
アメリカでは19世紀にはすでに養殖をし、たくさん食べていたが、病気と乱獲のために種牡蠣が不足、この時点で日本の牡蠣が海を渡ったという話です。
日本の牡蠣は、ミヤギ・クマモトという種類で、これが非常に良い品種だった。
やがて戦争のために種牡蠣輸出がストップしてアメリカが困ってしまった、この時、マッカーサーが手配して、再び種牡蠣が海を渡ることになった、このような話が詳しく出ています。
ティリーさんは熊本から水俣まで調査を進めており、チッソの名もでてくるし、水俣病についても触れています。
真摯な態度で書かれた牡蠣への愛情に溢れた本。
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牡蠣の歴史 (「食」の図書館) 単行本 – 2018/11/27
キャロライン・ティリー
(著),
大間知 知子
(翻訳)
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有史以前から食べられ、二千年以上前から養殖もされてきた牡蠣をめぐって繰り広げられてきた濃厚な歴史。古今東西の牡蠣料理、牡蠣の保護、「世界の牡蠣産業の救世主」日本の牡蠣についてもふれる。レシピ、牡蠣便利ガイド付。
■目次■
序 章 魔法の二枚貝
第1章 牡蠣の生物学
驚くべき生き物 / 牡蠣の一生 / 養殖
第2章 有史以前と古代の牡蠣
有史以前の牡蠣 / 貝塚 / 文明化された牡蠣 / 養殖の始まり / 牡蠣を愛した古代ローマ人
第3章 アジアの牡蠣
中国の牡蠣 / オイスターソース / 日本の牡蠣 / 世界の牡蠣を救った日本の牡蠣
第4章 中世から19世紀までの牡蠣
中世ヨーロッパの牡蠣 / イギリスの牡蠣 / 「魚の日」と牡蠣 / 牡蠣を愛した王たち / 「牡蠣はrのつく月しか食べてはいけない」 / 庶民の牡蠣料理
第5章 新世界の牡蠣
自然の港を埋めつくす牡蠣 / アメリカ独立をささえた牡蠣 / 移民たち / 危機に瀕する牡蠣 / 牡蠣ビジネス
第6章 金ぴか時代の牡蠣
「金ぴか」時代 / 洗練される牡蠣料理 / オイスター・ロックフェラー / 疫病 / 牡蠣と医学
第7章 20世紀の牡蠣
乱獲と規制 / 牡蠣と芸術家たち / 牡蠣を再生せよ / 病気 / 世界に広がる牡蠣養殖 / 牡蠣祭り / 牡蠣のビール
第8章 恋心をかき立てる牡蠣
媚薬としての牡蠣 / 牡蠣とセックス / 性的なものの象徴 / 快楽の時代
第9章 牡蠣の未来
牡蠣の最前線 / 生態系を再生する牡蠣
付録 牡蠣の保存法と殻の開け方
謝辞
訳者あとがき
写真ならびに図版への謝辞
参考文献
世界のオイスター・バー10選
レシピ集
■著者略歴
キャロライン・ティリー(CAROLYN TILLIE)
食物史家。芸術家。カリフォルニア州立大学ロングビーチ校でマスター・オブ・ファインアーツ(芸術系の修士号)を取得し、20年間にわたって食品をモチーフにした装飾品や芸術作品を作り続けてきた。
ワイン&スピリッツ・エデュケーション・トラスト卒業生であり、全米調理師協会が認定する最高位のマスターシェフの資格も持つ。ワインの専門誌『ワインズ&ヴァインズ』や『ワイン・ビジネス・マンスリー』などに寄稿し、本書『牡蠣の歴史』はティリーの初めての著書となる。
■目次■
序 章 魔法の二枚貝
第1章 牡蠣の生物学
驚くべき生き物 / 牡蠣の一生 / 養殖
第2章 有史以前と古代の牡蠣
有史以前の牡蠣 / 貝塚 / 文明化された牡蠣 / 養殖の始まり / 牡蠣を愛した古代ローマ人
第3章 アジアの牡蠣
中国の牡蠣 / オイスターソース / 日本の牡蠣 / 世界の牡蠣を救った日本の牡蠣
第4章 中世から19世紀までの牡蠣
中世ヨーロッパの牡蠣 / イギリスの牡蠣 / 「魚の日」と牡蠣 / 牡蠣を愛した王たち / 「牡蠣はrのつく月しか食べてはいけない」 / 庶民の牡蠣料理
第5章 新世界の牡蠣
自然の港を埋めつくす牡蠣 / アメリカ独立をささえた牡蠣 / 移民たち / 危機に瀕する牡蠣 / 牡蠣ビジネス
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「金ぴか」時代 / 洗練される牡蠣料理 / オイスター・ロックフェラー / 疫病 / 牡蠣と医学
第7章 20世紀の牡蠣
乱獲と規制 / 牡蠣と芸術家たち / 牡蠣を再生せよ / 病気 / 世界に広がる牡蠣養殖 / 牡蠣祭り / 牡蠣のビール
第8章 恋心をかき立てる牡蠣
媚薬としての牡蠣 / 牡蠣とセックス / 性的なものの象徴 / 快楽の時代
第9章 牡蠣の未来
牡蠣の最前線 / 生態系を再生する牡蠣
付録 牡蠣の保存法と殻の開け方
謝辞
訳者あとがき
写真ならびに図版への謝辞
参考文献
世界のオイスター・バー10選
レシピ集
■著者略歴
キャロライン・ティリー(CAROLYN TILLIE)
食物史家。芸術家。カリフォルニア州立大学ロングビーチ校でマスター・オブ・ファインアーツ(芸術系の修士号)を取得し、20年間にわたって食品をモチーフにした装飾品や芸術作品を作り続けてきた。
ワイン&スピリッツ・エデュケーション・トラスト卒業生であり、全米調理師協会が認定する最高位のマスターシェフの資格も持つ。ワインの専門誌『ワインズ&ヴァインズ』や『ワイン・ビジネス・マンスリー』などに寄稿し、本書『牡蠣の歴史』はティリーの初めての著書となる。
- 本の長さ188ページ
- 言語日本語
- 出版社原書房
- 発売日2018/11/27
- ISBN-104562055618
- ISBN-13978-4562055616
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- 言語 : 日本語
- 単行本 : 188ページ
- ISBN-10 : 4562055618
- ISBN-13 : 978-4562055616
- Amazon 売れ筋ランキング: - 108,837位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 477位グルメ一般の本
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2019年11月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
牡蠣の文化史としては極めて貴重な業績である。ご一読あれ。きっとカキフライを食べたくなるはずである。
2019年1月25日に日本でレビュー済み
牡蠣という生物、いや、食物は、人類にとってまさに魅惑の貝であり、その点において魚介類の王というにふさわしいものであることを再認識させられる。
金持ちや王侯貴族のなかには1日に何十個、何百個もの牡蠣を平らげた人物もいるというが、かくいう私自身、そんなたいそうなご身分ではないものの、出身が牡蠣の産地としても有名な岡山県和気郡日生町(現在の備前市日生町)の出身なので、それは肌身でよくわかるし、私もよく食べるクチである。
~ただ、行列してまで「カキオコ」(牡蠣の入ったお好み焼き)とやらを食べたいとまでは思わないが(苦笑)。
さて、そんな牡蠣の歴史であるが、乱獲と絶滅の危機と再生の時期をあちこちで繰り返しており、あたかも、人類の食の歴史の縮図であるかのようでもある。
食べ方(調理法、料理)も、様々。
生で食べる、カキフライにする、バターで炒める、鍋の具材にする、ご飯と一緒に炊く・・・
酒のつまみにもよし、普段の食事にもよし。
これまた、人類の食文化の縮図のような呈をなしている。
牡蠣は古今東西、あちこちで食されてきた。
これからも、そうだろう。
幸い牡蠣は、養殖にも適している。
これからも、人類の持続可能な発展において、牡蠣という食物が与える影響は大きなものであり続けるであろう。
人類は、牡蠣という魚介類を食べ続けているが、実は、大酒飲みが酒に飲まれる(!)が如く、すでに人類は牡蠣に食べられてしまっているのかもしれない。
それはもちろん、牡蠣が人類を古代より魅惑し続けているゆえんであることは言うまでもなかろう。
金持ちや王侯貴族のなかには1日に何十個、何百個もの牡蠣を平らげた人物もいるというが、かくいう私自身、そんなたいそうなご身分ではないものの、出身が牡蠣の産地としても有名な岡山県和気郡日生町(現在の備前市日生町)の出身なので、それは肌身でよくわかるし、私もよく食べるクチである。
~ただ、行列してまで「カキオコ」(牡蠣の入ったお好み焼き)とやらを食べたいとまでは思わないが(苦笑)。
さて、そんな牡蠣の歴史であるが、乱獲と絶滅の危機と再生の時期をあちこちで繰り返しており、あたかも、人類の食の歴史の縮図であるかのようでもある。
食べ方(調理法、料理)も、様々。
生で食べる、カキフライにする、バターで炒める、鍋の具材にする、ご飯と一緒に炊く・・・
酒のつまみにもよし、普段の食事にもよし。
これまた、人類の食文化の縮図のような呈をなしている。
牡蠣は古今東西、あちこちで食されてきた。
これからも、そうだろう。
幸い牡蠣は、養殖にも適している。
これからも、人類の持続可能な発展において、牡蠣という食物が与える影響は大きなものであり続けるであろう。
人類は、牡蠣という魚介類を食べ続けているが、実は、大酒飲みが酒に飲まれる(!)が如く、すでに人類は牡蠣に食べられてしまっているのかもしれない。
それはもちろん、牡蠣が人類を古代より魅惑し続けているゆえんであることは言うまでもなかろう。