満州移民に関して、世界、日本の歴史的な背景、開拓団募集の経過、ソ連の参戦、引揚という越智連の流れを年代順に整理し、簡潔な表現ながらキチンとポイントを押さえてあり、分かりやすい良書です。
今まで、読んできた満州関連著書は、個々の事件、経験談的なものが多く、寸足らずで、中には時間の流れが逆流するようなものまでありました。
この本は、膨大な量の資料を読み込んだものを時系列で整理し、当時の実態を簡潔に書いてあります。
巻末には年表も書いてあり、本文を読みながら年表を参照していくと理解が一段と進みます。
満州開拓団、移民計画が当初の目的・目標とはかけ離れて行った実態についての記述は、他の書籍ではあまり見たことが無く、新鮮でした。
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新書782移民たちの「満州」 (平凡社新書 782) 新書 – 2015/7/15
二松 啓紀
(著)
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- 本の長さ273ページ
- 言語日本語
- 出版社平凡社
- 発売日2015/7/15
- ISBN-104582857825
- ISBN-13978-4582857825
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商品の説明
著者について
1969年京都市生まれ。同志社大学大学院修了(社会福祉学修士)。京都新聞社文化部記者。中国残留日本人女性との出会いを機に、2003年から満蒙開拓団やシベリア抑留などをテーマに取材活動を続ける。長期連載に、「封印された『満州』」と「鎮まらぬ満州」のほか、死と看取りを見つめた「亡き人との語らい」、遷延性意識障害の家族を記録した「沈黙と傷痕と」など。現在は医療介護の分野を担当。著書に『裂かれた大地──京都満州開拓民 記録なき歴史』(京都新聞出版センター)、共著に『乳がんの歩きかた──余命を生きる50の物語』(文理閣)がある。
登録情報
- 出版社 : 平凡社 (2015/7/15)
- 発売日 : 2015/7/15
- 言語 : 日本語
- 新書 : 273ページ
- ISBN-10 : 4582857825
- ISBN-13 : 978-4582857825
- Amazon 売れ筋ランキング: - 50,598位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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上位レビュー、対象国: 日本
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2020年8月31日に日本でレビュー済み
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2015年7月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
昭和恐慌以降、疲弊する農村を救済するため、国家を挙げて満蒙開拓が始まったとするのが一般的なイメージ。本書は膨大な資料・文献と証言を元に、等身大の満蒙開拓団を浮かび上がらせる。当初、満洲移民の推進派は少数に過ぎず、軍部も政府首脳部も満蒙開拓に否定的だったが、二・二六事件を機に、状況は一転。山形県や宮城県で開拓団を送出した満州移民の先進地は、農村経済更生運動に熱心な優良村であり、作家和田傳の小説で有名な長野県大日向村は耕地こそ少ないが、炭焼きや林業、運搬、鉱業で、実はとても裕福だった。二・二六事件後に誕生した広田弘毅内閣は軍部との妥協を強いられ、満洲移民を国家事業へと祭り上げた後、地方へと波及し、町村の重要施策として位置づけていく。現代で言う、町おこしだ。満洲移民に積極的な地域は限られていたが、声高な運動家を前に、良識派を駆逐し、推進へと傾いていく。そして、普通の人々が「満洲」に目覚め、「戦争」に手を染めていく。推進した加藤完治(教育者)や橋本傳左衛門(京都大学教授)に、戦後は反省の弁すらない。読み進めるうちに、満蒙開拓団のイメージが次々と覆されていく。と同時に、平易に書かれていて読みやすい。それよりも、京都に満蒙開拓団があったとは驚いた。詳細な目次を転載する。満蒙開拓団に関する主な事件は網羅されている。
序章 最も身近な戦争体験としての「満州」
消えた同級生/戦争を知らない世代の「戦争」体験/満蒙開拓団の資料を託されて
第一章 満州国の誕生と大量移民の幕開け
満州事変から満州国誕生へ/五・一五事件と満州移民/日満議定書と平頂山事件
第一次武装移民とリットン調査団/第二次武装移民と依蘭事変
「満州移民のトーチカ」高橋是清の死/大量送出の時代へ
第二章 日中戦争と満州移民
満蒙開拓青少年義勇軍/移民の募集担当だった水上勉/教員が教え子を戦場へ
少年義勇軍の悲劇/「分村移民は精神運動」/分村計画の先駆け、宮城県南郷村
「優良村」だった山形県大和村/分村移民、三つのモデル/「移民」から「開拓民」へ
第三章 模範村「大日向村」の誕生
『蒼氓』で描かれた海外移民/ブラジル移民から満州移民へ/「名ばかりの暗い日陰の村」
農村問題の解決策として/現実の大日向村/小説に描かれなかった疑獄事件
分村移民のその後/島木健作の見た大日向村/「時局便乗小説」
第四章 形骸化する満蒙開拓事業
移民に対する負のイメージ/立ち消えた京都府の分村移民計画
京都府の視察団が満州大日向村へ/「国策」と「天皇」を御旗に
数合わせに終始した机上の計画/「成功」を装う満州天田郷建設
良識ある反対派を駆逐/「満人」に対する優越感/集落の割り当てから個人・家族選抜へ
継続こそが目的に/京都府内唯一の「模範」/波紋が大きかった高知県
第五章 戦争末期の満州と満蒙開拓団
都市部の転業者開拓団/天田郷開拓団は新聞でいかに報じられたか
京都市の平安郷開拓団/「満州に来るな」/戦禍の影すらない平和な日々
ソ連参戦と逃げ出した日本人官僚/開拓地を玉砕覚悟で死守すべし
玉音放送と松花江の惨劇/敗戦後も戦禍が続く
第六章 日本人の大量難民と収容所
傀儡帝国の崩壊/麻山の集団自決と葛根廟の大量虐殺
対照的な運命をたどった二つの開拓団/ハルビンの花園収容所
満州で最大規模だった新香坊収容所/過半数が死亡した伊漢通収容所
一五万人の難民が押し寄せた奉天/都市の居留民が見た難民収容所
第七章 引き揚げと戦後開拓──満州の記憶
東西冷戦が反映した引揚事業/日本人帰国の報に募る焦燥感
封じ込められた満州の記憶/日本人女性のための「秘密病院」
満蒙開拓の焼き直しだった戦後開拓/満州引揚者が再び京都の入植地へ
軽井沢の「大日向」/大日向を詠んだ御製/加藤完治と橋本傳左衛門のその後
第八章 一八歳のシベリア抑留──もう一つの収容所
消えた「アジア最強」の関東軍/史上最大の拉致事件/シベリアの強制収容所
初めての冬に三万人が死亡/帰国のための思想改造/蒼く澄み切った舞鶴の海
終章 消えない「満州」の残像
満州移民とは何だったのか/地方の裁量と責任/混在する加害と被害
今も続く「満州」
序章 最も身近な戦争体験としての「満州」
消えた同級生/戦争を知らない世代の「戦争」体験/満蒙開拓団の資料を託されて
第一章 満州国の誕生と大量移民の幕開け
満州事変から満州国誕生へ/五・一五事件と満州移民/日満議定書と平頂山事件
第一次武装移民とリットン調査団/第二次武装移民と依蘭事変
「満州移民のトーチカ」高橋是清の死/大量送出の時代へ
第二章 日中戦争と満州移民
満蒙開拓青少年義勇軍/移民の募集担当だった水上勉/教員が教え子を戦場へ
少年義勇軍の悲劇/「分村移民は精神運動」/分村計画の先駆け、宮城県南郷村
「優良村」だった山形県大和村/分村移民、三つのモデル/「移民」から「開拓民」へ
第三章 模範村「大日向村」の誕生
『蒼氓』で描かれた海外移民/ブラジル移民から満州移民へ/「名ばかりの暗い日陰の村」
農村問題の解決策として/現実の大日向村/小説に描かれなかった疑獄事件
分村移民のその後/島木健作の見た大日向村/「時局便乗小説」
第四章 形骸化する満蒙開拓事業
移民に対する負のイメージ/立ち消えた京都府の分村移民計画
京都府の視察団が満州大日向村へ/「国策」と「天皇」を御旗に
数合わせに終始した机上の計画/「成功」を装う満州天田郷建設
良識ある反対派を駆逐/「満人」に対する優越感/集落の割り当てから個人・家族選抜へ
継続こそが目的に/京都府内唯一の「模範」/波紋が大きかった高知県
第五章 戦争末期の満州と満蒙開拓団
都市部の転業者開拓団/天田郷開拓団は新聞でいかに報じられたか
京都市の平安郷開拓団/「満州に来るな」/戦禍の影すらない平和な日々
ソ連参戦と逃げ出した日本人官僚/開拓地を玉砕覚悟で死守すべし
玉音放送と松花江の惨劇/敗戦後も戦禍が続く
第六章 日本人の大量難民と収容所
傀儡帝国の崩壊/麻山の集団自決と葛根廟の大量虐殺
対照的な運命をたどった二つの開拓団/ハルビンの花園収容所
満州で最大規模だった新香坊収容所/過半数が死亡した伊漢通収容所
一五万人の難民が押し寄せた奉天/都市の居留民が見た難民収容所
第七章 引き揚げと戦後開拓──満州の記憶
東西冷戦が反映した引揚事業/日本人帰国の報に募る焦燥感
封じ込められた満州の記憶/日本人女性のための「秘密病院」
満蒙開拓の焼き直しだった戦後開拓/満州引揚者が再び京都の入植地へ
軽井沢の「大日向」/大日向を詠んだ御製/加藤完治と橋本傳左衛門のその後
第八章 一八歳のシベリア抑留──もう一つの収容所
消えた「アジア最強」の関東軍/史上最大の拉致事件/シベリアの強制収容所
初めての冬に三万人が死亡/帰国のための思想改造/蒼く澄み切った舞鶴の海
終章 消えない「満州」の残像
満州移民とは何だったのか/地方の裁量と責任/混在する加害と被害
今も続く「満州」
2019年8月21日に日本でレビュー済み
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無謀な戦争が、戦争を遂行する指導者が、名もない人たち、すなわち庶民を苦しめ、死に至らしめることを、この本を読むことで痛感させられます。そして、「開拓」という言葉の実態が略奪・搾取であったことも。この事実が明らかであっても、国策の誤りが明白であるのに、わが国の一部政治家、文化人はアジア諸国への反省を口にすることを拒んでいます。大変悲しく思います。戦争に正義はなく、正義の戦争もないことを、肝に銘じましょう。
2015年7月20日に日本でレビュー済み
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昭和20年5月に約27万人いた開拓団員のうち、戦後の帰国までに約3分の1が、戦死、他殺死、自決、病死で亡くなり、「世界の移民史上かってない悲劇的な終止符」(黒田清 読売新聞社)を打つことなった満州移民について、開始から、シベリア抑留者引き揚げまでを描いた本である。著者は京都新聞記者。重要基本資料は「天田郡農会資料」(天田郷開拓団・・京都)。
なお、公的用語は、当初は「移民」で、1939年12月の「基本要綱」以後に「開拓民」になっているが、著者は、未墾地に移住して開墾するなら開拓だが、実態は、満人等が開墾した土地を安く買い上げ、そこに日本人を移住させ、満人を雇って労働させた、として、「移民」の語を使っている。しかし、「移民団」については、多くが「開拓団」となっている。これは「・・・開拓団」いう固有名詞が頻出するからだろう。
構成
序章と第一章から第八章まで、終章からなる。第五章の途中でソ連の満州侵攻が開始される。よって、ソ連侵攻前と、侵攻後の悲劇がほぼ同一の分量で語られる。
特徴
類書は多いが、次の3点は本書の特徴と思う。
一、「満州移民」は国策であったが、あくまで公募制であり、強制ではなく、地方に一定の裁量があり、積極的に推進するかどうかは地方の判断であったとして、記録を詳細に調べ、地方の責任を問うている。
二、「天田郡農会資料」を丁寧に追い、一つの開拓団の成立、増大、ソ連侵入による崩壊、悲惨な逃避行と難民生活、帰国までを描いている。
三、著者は医療介護が専門であるからか、開拓団難民が伝染病等で衰弱して死んでいく場面の引用が多く、悲惨が際立っている。
私的感想
●貴重な出版と思う。ソ連侵入以後の悲劇は、涙なしには読めなかった。
●満州移民は、寒い、治安が悪い等の理由で不人気だったようである。だから、公募制といっても、様々な実質的強制力(指名、推薦、先に移民した者からの要求、村八分の恐怖等)が働いたようである。自治体職員の熱心、不熱心も影響しただろう。しかし、いずれにせよ、分村移民(村の住民の一部を女性、子供、年寄りをまとめて満州へ移す。その結果、残った者の耕地面積は増える)の一員となる意思決定というのは大変なことで、一大決心であったと思う。
●その一方、戦争末期にも、大規模な開拓団が送り出されているのは恐ろしいことである。空襲もない、本土決戦もない、無敵の関東軍がいるという感覚であったようだが・・結果的に大多数が亡くなっている。国と関東軍と自治体に騙されたようなものと思うが・・
●184頁に書かれている、都市の日本人居留民と、開拓難民の対立、落差は興味深い。もう少し書いてもらいたかった。
●一か所だけをとらえて非難するつもりはないが、終章256頁の終わりには同意できない。次のようにある。「ただし、ナチス・ドイツのユダヤ人虐殺と満蒙開拓団の受難は、悲劇性において共通する反面、歴史上の立場が根本的に異なっている。ユダヤ人は被害者だが、開拓団は被害者の枠組には収まりきらない。むしろ加害にこそ、その本質がある」。たしかに著者は、116頁で「理想郷の実態とは、中国人の土地で、中国人を安い労働力として使い、日本人が豊かに暮らす世界だった」と書いており、この結論はそれに対応しているのかもしれない。しかし、この結論は、第5章以降、開拓団の悲劇を、同情と、強い悲しみと、軍への怒りを示して切々と描いてきたこととは、まったく合致しない。開拓団は基本的に被害者である。
なお、公的用語は、当初は「移民」で、1939年12月の「基本要綱」以後に「開拓民」になっているが、著者は、未墾地に移住して開墾するなら開拓だが、実態は、満人等が開墾した土地を安く買い上げ、そこに日本人を移住させ、満人を雇って労働させた、として、「移民」の語を使っている。しかし、「移民団」については、多くが「開拓団」となっている。これは「・・・開拓団」いう固有名詞が頻出するからだろう。
構成
序章と第一章から第八章まで、終章からなる。第五章の途中でソ連の満州侵攻が開始される。よって、ソ連侵攻前と、侵攻後の悲劇がほぼ同一の分量で語られる。
特徴
類書は多いが、次の3点は本書の特徴と思う。
一、「満州移民」は国策であったが、あくまで公募制であり、強制ではなく、地方に一定の裁量があり、積極的に推進するかどうかは地方の判断であったとして、記録を詳細に調べ、地方の責任を問うている。
二、「天田郡農会資料」を丁寧に追い、一つの開拓団の成立、増大、ソ連侵入による崩壊、悲惨な逃避行と難民生活、帰国までを描いている。
三、著者は医療介護が専門であるからか、開拓団難民が伝染病等で衰弱して死んでいく場面の引用が多く、悲惨が際立っている。
私的感想
●貴重な出版と思う。ソ連侵入以後の悲劇は、涙なしには読めなかった。
●満州移民は、寒い、治安が悪い等の理由で不人気だったようである。だから、公募制といっても、様々な実質的強制力(指名、推薦、先に移民した者からの要求、村八分の恐怖等)が働いたようである。自治体職員の熱心、不熱心も影響しただろう。しかし、いずれにせよ、分村移民(村の住民の一部を女性、子供、年寄りをまとめて満州へ移す。その結果、残った者の耕地面積は増える)の一員となる意思決定というのは大変なことで、一大決心であったと思う。
●その一方、戦争末期にも、大規模な開拓団が送り出されているのは恐ろしいことである。空襲もない、本土決戦もない、無敵の関東軍がいるという感覚であったようだが・・結果的に大多数が亡くなっている。国と関東軍と自治体に騙されたようなものと思うが・・
●184頁に書かれている、都市の日本人居留民と、開拓難民の対立、落差は興味深い。もう少し書いてもらいたかった。
●一か所だけをとらえて非難するつもりはないが、終章256頁の終わりには同意できない。次のようにある。「ただし、ナチス・ドイツのユダヤ人虐殺と満蒙開拓団の受難は、悲劇性において共通する反面、歴史上の立場が根本的に異なっている。ユダヤ人は被害者だが、開拓団は被害者の枠組には収まりきらない。むしろ加害にこそ、その本質がある」。たしかに著者は、116頁で「理想郷の実態とは、中国人の土地で、中国人を安い労働力として使い、日本人が豊かに暮らす世界だった」と書いており、この結論はそれに対応しているのかもしれない。しかし、この結論は、第5章以降、開拓団の悲劇を、同情と、強い悲しみと、軍への怒りを示して切々と描いてきたこととは、まったく合致しない。開拓団は基本的に被害者である。
2016年1月9日に日本でレビュー済み
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戦争を知らない自分と同世代の、しかも著者が現役の新聞記者ということで、日頃は興味をもたないこの分野の本を手にするきっかけとなった。
満州で悲惨な歴史があったことは少し知っていたつもりだったが、何もわかっていなかったことを悟り反省した。
夢を持って渡っていった満州移民は国策の誤りの犠牲となり、難民となった民間人は、悲惨という言葉では片付けられないほどの惨い体験をしている。生き残った人々の苦しみも一生消えることはなっかっただろう。読んでいて、とても辛く涙が出た。
しかし、目を背けてはならない史実が綴られている。この本に出会えて良かった。
満州で悲惨な歴史があったことは少し知っていたつもりだったが、何もわかっていなかったことを悟り反省した。
夢を持って渡っていった満州移民は国策の誤りの犠牲となり、難民となった民間人は、悲惨という言葉では片付けられないほどの惨い体験をしている。生き残った人々の苦しみも一生消えることはなっかっただろう。読んでいて、とても辛く涙が出た。
しかし、目を背けてはならない史実が綴られている。この本に出会えて良かった。
2016年11月20日に日本でレビュー済み
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見えにくい戦争の一断面の事実の発掘。こういう書物が貴重です。