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森のフォークロア: ドイツ人の自然観と森林文化 (叢書・ウニベルシタス 825) 単行本 – 2005/10/1

4.6 5つ星のうち4.6 2個の評価

現象としての森,森の伝説,森の利用などドイツ人と森との共生の諸相を民俗学の視点から明らかにし,神秘的な森の息吹と人々が育む自然観・森林観を生々と伝える。
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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 法政大学出版局 (2005/10/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2005/10/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 372ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4588008250
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4588008252
  • カスタマーレビュー:
    4.6 5つ星のうち4.6 2個の評価

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アルブレヒト・レーマン
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カスタマーレビュー

星5つ中4.6つ
5つのうち4.6つ
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上位レビュー、対象国: 日本

2015年12月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ドイツに於ける“森のフォークロア”と言うと、どうしてもメルヘンの世界を連想してしまうが、本書に登場するのは決して“お伽の森”ではない。
それもその筈、原著の題名は正確には『人間と樹木―ドイツ人とその森』と訳されるそうで、極めて具体的にドイツ人と森との関係を扱った内容なのだ。
樹木の分布、動植物、経済や政治利用、犯罪、伝説、そして今後の課題など等、ありとあらゆる視点を以って森を徹底調査した一冊…それが本書である。

さて、著者が執筆に当たって最も重んじるのが「口承研究」だそうだ。
即ち「誰かが語る」内容こそが重要な資料であり、本書でも多くのインタビューを基に分析を進めている。
老若男女を問わず、森の達人と素人、或いは森に関心のある人から無関心な人に至るまで幅広く取材をしている上に、林業や林務官として森の仕事に携わる人もいれば、ハイカーのように趣味で森に立ち入る人もあり、更には独特の宗教観を以って森に接している人もいるので、彼等から得られる証言は実に様々である。
それぞれの観点の独特さが非常に新鮮であった。

尚、余りにも内容が多岐に亘るので、ここで全てに言及するのは不可能であるが、幾つか興味深い指摘を掻い摘んで紹介すると…。

1.オークは嘗てはドイツの国民的シンボルであったが、ナチス時代の政治利用の反動もあり、現代では拒絶の傾向にある。たった一つの樹木に歴史を見出す視点が面白い。因みに、本書ではハーゲンクロイツの森にも言及している。
2.森に感じる不安の根源は実体験に基くもの、或いは犯罪者の噂等、現実的な恐怖に纏わるものが多いものの、その一方で、やはり漠然とした不安もある。
特に、夜の森に対する不安が最大のもので、武器を手にした警察官ですら夜の森に逃げ込んだ犯罪者を追わなかったという逸話には失笑しながらも納得であった。
3.中世のドイツではキノコは嫌悪されており、後世の「キノコ啓蒙運動」を経ても尚、食料として根付かなかったというのは意外である。
勿論、ドイツの中でも地域差はあったようだが、当初はどちらかというと移民者達の生きる為の糧であり、現代のようにキノコが当たり前の如く食卓に上り、更には趣味としての「キノコ狩り」が発達するまでにはかなりの時間を要した。

勿論、上記はほんの僅かな抜粋である。
実際には本書はもっと奥深く、然も学ぶべき内容が凝縮されているので、とにかく森に関心がある方は是非とも手に取って頂きたい。
とにかく一度でもお読み下されば、その面白さが解るであろう。

因みに、内容としてはかなり学術性が高いものの、多くのインタビューを載せている所為か、意外にも読み易い。
また、著者が最後に「海のビーチバレー」と「山のスノーボード」が現代社会で地位を確立したのに対し、「森のクロスカントリー」を「忘れられた」ものと位置づけ、森を「古いヨーロッパのシンボル」と称しているのも印象的であった。
だからこそ「今、森とどう向き合っていくべきなのか」…という点について真摯に取り組み姿勢には共感を覚えずにはいられなかったし、改めて、ドイツに於ける森の存在意義を考えさせてくれたように思う。
いや、それだけではない。
日本人もまた、古代より森に神を感じ、畏れると同時に親しんでも来たし、第一、森が国土を占める割合はドイツよりも日本の方が多い筈なのだ。
自然の宝庫として、そして経済の場として、森を如何に活用し、生かしていくべきなのか…ドイツに置き換えて日本の森の姿を考えさせてくれる、極めて奥の深い一冊であった。
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