今年度のNHK大河ドラマ『真田丸』の主人公として真田信繁(幸村)が取り上げられたことにより、真田氏への注目が集まっている。関連本も多く出されて
いて、信濃の無名の一豪族から13万石の大名にまでのし上がった一族のサバイバル術は実に興味深い。本書は2009年の刊行だが内容は充実しており、
『真田丸』ファンなら必読の一冊である。ただし、他のレビュワーさんの指摘にもある通り信繁に関する記述は多くない。彼は真田氏の当主ではないし、真
田氏一族を通史的に描く場合必ずしも重要な存在ではないからである。本書の主人公は幸隆・昌幸・信幸(信之)の歴代当主3人である。
真田幸隆以前の真田氏についてはほとんど不明で、応永7(1400)年に起こった大塔合戦に「実田(さねだ)」氏が参加したという記録があり、これは真田氏
のことであろうとされている。系図では古代からの名門滋野氏の末裔海野氏の支族ということになっているが信用しがたいとのこと。幸隆は父親の名前す
らはっきりしておらず、武田信玄に仕える以前の彼がいかに無名の存在であったかという事だろう。信玄に仕えた幸隆は砥石城攻略で勲功を挙げ(28p)
信玄の信任を得た。川中島合戦(31p~ )や上野国攻略の尖兵となって働き武田家中での地位を上昇させていった。幸隆は息子たち(信綱・昌幸・信尹)
を信玄に人質として差し出したが信玄はこの息子たちを側近として重用した。幸隆は天正2(1574)年に没し嫡男信綱が家督を継ぐが翌年の長篠合戦で
戦死してしまったので弟の昌幸が家督を継いだ。第二章『戦乱を乗り切った昌幸』(85p~ )と第三章『豊臣と徳川の間で』(183p~ )で多くのページ数が
昌幸の活躍に割かれており、武田氏滅亡後の昌幸のサバイバル術が信頼できる史料に基づいて分析されている。信繁の活躍が描かれるのもこのあた
りだが、著者笹本氏は信繁の生涯のハイライトともいうべき大坂の陣での奮戦を「あだ花を咲かせただけで、歴史的に大きな足跡を果たしたわけではない」
(250p)と言い切る。信頼できる史料に基づいて客観的視点から分析していくとそういう結論にならざるを得ないのだろう。
終盤は昌幸の後を継いだ信幸(信之)の事跡がつづられている。昌幸・信繁に比べて地味な印象のある信之だが、武将としても政治家としても有能であ
った。93歳の長寿を保ち松代藩13万石(のちに10万石)の基礎を築いた。一族を思いやる良き家庭人という一面があり、妻や子供、家臣たちを大切に
したという。笹本氏は信之について「武力で社会を泳ぎ渡るというより、人間力で対岸に行き着いた」人物であると評している(311p)。
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真田氏三代:真田は日本一の兵 (ミネルヴァ日本評伝選) 単行本 – 2009/5/10
笹本正治
(著)
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信濃上田の小豪族は、いかにして武田、上杉、北条、豊臣、徳川などの大勢力の挟間を生き抜き、大名にまで上り詰めたのか。真田氏三代四人が織りなす行動と魅力を探る。
【目次】
はしがき
第一章 信玄にかけた幸隆
1 真田の流れと流浪
2 武田信玄の信濃戦略
3 戦功をあげる幸隆
4 幸隆と川中島合戦
5 信玄の上野侵略と真田氏
6 信玄の駿河・遠江侵略と真田氏
7 真田氏の支配と一族
第二章 戦乱を乗りきった昌幸
1 信綱の家督相続
2 昌幸のもとで
3 武田氏滅亡の混乱の中で
4 大勢力の間を泳ぐ
5 上田城築城と続く戦争
6 豊臣秀吉と結ぶ
7 秀吉のもとで
第三章 豊臣と徳川の間で
1 関ヶ原合戦
2 その後の昌幸
3 旧領を守った信之
4 再び敵味方に分かれた信之と信繁
5 大坂夏の陣
第四章 松代藩の礎を築いた信之
1 信之の領内統治
2 松代藩主となる
3 松代藩政
4 晩年の信之
5 信之の人となり
参考文献
あとがき
真田氏三代年譜
人名索引
【目次】
はしがき
第一章 信玄にかけた幸隆
1 真田の流れと流浪
2 武田信玄の信濃戦略
3 戦功をあげる幸隆
4 幸隆と川中島合戦
5 信玄の上野侵略と真田氏
6 信玄の駿河・遠江侵略と真田氏
7 真田氏の支配と一族
第二章 戦乱を乗りきった昌幸
1 信綱の家督相続
2 昌幸のもとで
3 武田氏滅亡の混乱の中で
4 大勢力の間を泳ぐ
5 上田城築城と続く戦争
6 豊臣秀吉と結ぶ
7 秀吉のもとで
第三章 豊臣と徳川の間で
1 関ヶ原合戦
2 その後の昌幸
3 旧領を守った信之
4 再び敵味方に分かれた信之と信繁
5 大坂夏の陣
第四章 松代藩の礎を築いた信之
1 信之の領内統治
2 松代藩主となる
3 松代藩政
4 晩年の信之
5 信之の人となり
参考文献
あとがき
真田氏三代年譜
人名索引
- 本の長さ404ページ
- 言語日本語
- 出版社ミネルヴァ書房
- 発売日2009/5/10
- ISBN-104623054446
- ISBN-13978-4623054442
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商品の説明
著者について
《著者紹介》*本情報は刊行時のものです
笹本正治(ささもと・しょうじ)
1951年 山梨県生まれ。
1974年 信州大学人文学部卒業。
1977年 名古屋大学大学院文学研究科博士課程前期修了。
現在 信州大学人文学部教授。博士(歴史学)(名古屋大学)。
笹本正治(ささもと・しょうじ)
1951年 山梨県生まれ。
1974年 信州大学人文学部卒業。
1977年 名古屋大学大学院文学研究科博士課程前期修了。
現在 信州大学人文学部教授。博士(歴史学)(名古屋大学)。
登録情報
- 出版社 : ミネルヴァ書房 (2009/5/10)
- 発売日 : 2009/5/10
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 404ページ
- ISBN-10 : 4623054446
- ISBN-13 : 978-4623054442
- Amazon 売れ筋ランキング: - 912,907位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 799位戦国・安土桃山時代
- - 126,795位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2009年9月29日に日本でレビュー済み
著者は信州大学で武田氏や非農業民等について研究されている教授です。
武田氏に仕える前の真田氏に関しては少々内容が薄いような気もいたしますが、武田氏時代の真田氏に関する記述は分かりやすくかなりかなり肉厚な内容となっており、これまでに刊行されたどの真田氏に関する著書よりも抜きん出た完成度となっております。巻末の年表は、真田氏三代時代に出されたほとんどすべての史料を基に作られており、こちらも見ごたえのあるものとなっています。この著書は、これまでの真田氏研究の一到達点と言っても過言ではないでしょう。
しかし、参考文献に関しては、現実に存在しないタイトルの本が幾つも並んでいます。ひとえに『真田信繁』とある著書名を『真田幸村』と置き換えれば解決するのですが、本としてはこれは痛いミスです。これから読まれる方は、参考文献から他の著書を引き出す場合、この事に注意して扱って下さい。ただし、初版本以降は訂正されているかもしれません。
揚げ足取りは於いておくとしても、真田幸村にだけ興味があって読まれる方にはお勧めできません。何故なら著者は「幸村よりも信之の方が重要である」として、真田三代を扱った本でも、従来は余り多く書かれることの無かった信之に、昌幸死後の真田氏の中心人物として焦点を当てておられます。真田幸村ももちろん諸述されていますが、情報量としてはさほど多くは無いことを念頭におく必要があります。
卒論で真田氏について書きたいと言う方や、本格的に真田氏について知りたい方は、まず第一にこの本を抑えることを強くお勧めいたします。
武田氏に仕える前の真田氏に関しては少々内容が薄いような気もいたしますが、武田氏時代の真田氏に関する記述は分かりやすくかなりかなり肉厚な内容となっており、これまでに刊行されたどの真田氏に関する著書よりも抜きん出た完成度となっております。巻末の年表は、真田氏三代時代に出されたほとんどすべての史料を基に作られており、こちらも見ごたえのあるものとなっています。この著書は、これまでの真田氏研究の一到達点と言っても過言ではないでしょう。
しかし、参考文献に関しては、現実に存在しないタイトルの本が幾つも並んでいます。ひとえに『真田信繁』とある著書名を『真田幸村』と置き換えれば解決するのですが、本としてはこれは痛いミスです。これから読まれる方は、参考文献から他の著書を引き出す場合、この事に注意して扱って下さい。ただし、初版本以降は訂正されているかもしれません。
揚げ足取りは於いておくとしても、真田幸村にだけ興味があって読まれる方にはお勧めできません。何故なら著者は「幸村よりも信之の方が重要である」として、真田三代を扱った本でも、従来は余り多く書かれることの無かった信之に、昌幸死後の真田氏の中心人物として焦点を当てておられます。真田幸村ももちろん諸述されていますが、情報量としてはさほど多くは無いことを念頭におく必要があります。
卒論で真田氏について書きたいと言う方や、本格的に真田氏について知りたい方は、まず第一にこの本を抑えることを強くお勧めいたします。