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トランシルヴァニア: その歴史と文化 単行本 – 1991/9/1

4.7 5つ星のうち4.7 2個の評価

商品の説明

内容(「MARC」データベースより)

ハンガリー・アールヌーヴォーの代表的建築家が、その深い森の奥にくり広げられてきた波瀾の歴史とゆたかな文化を概観し、各地の興味あふれる建物を美しい版画で紹介。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 恒文社 (1991/9/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 1991/9/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 170ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4770407432
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4770407436
  • カスタマーレビュー:
    4.7 5つ星のうち4.7 2個の評価

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コ−シュ・カ−ロイ
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上位レビュー、対象国: 日本

2011年7月12日に日本でレビュー済み
 原書は1929年の出版。1025年間もハンガリー領土だったトランシルヴァニアが、1920年の条約でルーマニアの一部となった時代を過ごしたトランシルヴァニア出身のハンガリー人著者(建築家)の46歳の時の著作。ハンガリー人なので、ハンガリー民族主義バリバリの記載かと思ったら、同じハンガリー人でも、ハンガリー本国とは距離を置いていて、殆ど過激な民族主義的主張は見られません。あえて言えばトランシルヴァニア民族主義と言えるかも知れませんが、ルーマニアからの独立とか自治を叫んでいるわけでもありません。しかも作者は歴史家では無く、建築家であるにもかかわらず、マジャール人の征服前から始まって、アールパード朝時代(896-1301年)、モハーチの戦いまで(1526年)、トランシルヴァニア公国時代(1526-1691年)、ハプスブルク家総督支配時代(1691-1847年)、その後(1847-1918年)と、時代に偏らず、概ね同じ分量で記述が進むので、トランシルヴァニア略史を知るには現段階の日本語書籍としては最適かと思います。文章の部分は157ページまでで、その後、60ページ、60枚程、トランシルヴァニアの農家、城、教会、農民、士官、貴族などの著者によるイラストが添付されており、これも非常に参考になります。写真ではないのは残念ですが、イラストを見ているうちに、特徴が把握し易いようにも思えてきますし、トランシルヴァニアの写真は、他に写真集を見れば良いと考えれば、本書はかなり有用な書籍のように思えます。イラスト(版画)も、セーケイ(フン・アヴァール系人の末裔)人、ザクセン人、ルーマニア人、ハンガリー人別に、貴族や農家、農家内部のイラストが並んでおり、入り組んだ民族事情の整理に役立ちました。

 あまり目立たない書籍ですし、最新研究や専門家から見れば、内容が古く、正確ではない部分もあるのかも知れませんが、軽く「物語XXの歴史」的にトランシルヴァニアの歴史と文化を知るには適当な書籍かと思います。表紙内側のトランシルヴァニアの県名入りの地図や、ハンガリー名とルーマニア名の地名対照表も有用だと思います。

 ルーマニア史やハンガリー史の専門書では、一部としてしか扱われないトランシルヴァニアという地域を主体とした内容は、他書では得がたいものがあるものと思う次第です。
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