ノーベル賞受賞記念講演(日本語原稿(*))、インタビュー記事、雑誌・新聞に益川先生が書かれた記事をまとめて一冊にしたものです。(ノーベル賞受賞前の記事も、受賞後の記事もあります)本の構成の性格上、内容的な重複が目立ちますが、何回も同じテーマが語られることで益川先生が重要と思っているポイントが浮かび上がっています。また、ノーベル賞受賞の前も後も、主義主張が一貫していることも分かります。
なんといってもノーベル賞受賞記念講演を読めるというのは特筆すべきことでしょう。テレビニュースで取り上げたのはホンの一部ですね。途中、一般の人には難しすぎる内容も出てきますが、ご研究を遂行された時の雰囲気を味わうことは出来ます。(四元モデルへの"執着"がなくなると六元モデルに瞬時に気付いた、というくだりは面白いです。"離見の見"(世阿弥)の現れとも言えるかも)
そしてインタビュー記事や先生のご執筆記事を読むと、先生がどのように科学的方法論を身に付けていったのかが分かります。「大学の学びは『自発、自得』の精神で」というくだりを読めば、「
科学者という仕事―独創性はどのように生まれるか
」と通じることに気付きます。つまり「自分で問題を発する」(自発)→「その発した問題について自分で考え、得ていく」(自得)が肝要なのです。(ここで「どうしても自分でこの謎を解きたい!」という強い意欲が必要です。つまり
NeedsよりWants
なのです) また「高眼手低」の益川流解釈(=仕事をするときは高い目標を掲げて、着実に出来るところからやっていく)は、「着眼大局、着手小局」と通じる処があります。ほか、"坂田哲学"に関する言及もかなりあります。("(唯物)弁証法"がここまで影響していたとは...)
物理学以外の"思想的な話題"で違和感を感じる読者も少なからずいるだろうと思いますが、益川先生の"人となり"を知る上では興味深い一冊とは言えるでしょう。。。
(*)英語原稿(PDF)は"link.aps.org/doi/10.1103/RevModPhys.81.1027"から入手可能です。同じ号に南部先生&小林先生の原稿も掲載されています。
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科学にときめく―ノーベル賞科学者の頭の中 (かもがわCブックス) (かもがわCブックス 13) 単行本 – 2009/6/1
益川 敏英
(著)
- 本の長さ209ページ
- 言語日本語
- 出版社かもがわ出版
- 発売日2009/6/1
- ISBN-104780302803
- ISBN-13978-4780302806
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登録情報
- 出版社 : かもがわ出版 (2009/6/1)
- 発売日 : 2009/6/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 209ページ
- ISBN-10 : 4780302803
- ISBN-13 : 978-4780302806
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,404,491位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 113,865位科学・テクノロジー (本)
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