本書のタイトルを見て、「生き方について哲学の視点から何か有益な示唆が得られるのでは」と思って読み始める人がいるかもしれないが、本書はそういう本ではない。
本書の内容は原題の「倫理、そして哲学の限界」の方が的確で、倫理や道徳について大上段に語ってきたこれまでの哲学の問題点を明らかにしていく本だと言える。
本書で俎上に載せられるのは、ソクラテスの「よく生きる」やカントの実践理性、功利主義といった比較的批判を多く見るものから、反省、義務、相手に立場を置き換えることといった幅広くみられる概念まで多岐にわたる。
道徳哲学や倫理学に精通していれば、こうした基本的な概念を手早く調理していくさまはなかなか面白いと思う。
しかし、逆に言うと内容はかなりテクニカルで、また取り上げられる批判対象の定式化がいささか藁人形的なところも感じる。
また、万人に共通の「善き生」や倫理の客観知識を批判していくのは良いが、では代わりにどうするのか、という部分に答えてくれていないという不満も残る。
万人受けしそうなタイトルとは裏腹に、道徳哲学・倫理学の専門家向けの内部批判のための本と思って読むのがよいように思う。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
生き方について哲学は何が言えるか 単行本 – 1993/9/1
- 本の長さ402ページ
- 言語日本語
- 出版社産業図書
- 発売日1993/9/1
- ISBN-104782800835
- ISBN-13978-4782800836
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
倫理的思考とは何か、哲学は倫理的思考にいかに貢献しうるかという問題に新たな位置づけを行う書。倫理学の可能性に関する現在の諸説に異議を唱え、倫理学がいかに変貌すべきかについて方向づけを与える。
登録情報
- 出版社 : 産業図書 (1993/9/1)
- 発売日 : 1993/9/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 402ページ
- ISBN-10 : 4782800835
- ISBN-13 : 978-4782800836
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,046,921位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう