バックラッシュの主張がよく分かり、
それに対応する問題意識も高まりました。
1.「ジェンダー」を「『社会的文化的性差』と翻訳するのは誤訳」と主張しているのは、
シカゴ大学の山口智美氏ですが(『バックラッシュ!なぜジェンダーフリーは叩かれたのか?(281p)』)、
ただ一人の主張であり、そのいわゆる「誤訳」が使われているからといって、
本全体の信頼が揺らぐことはないです。
(山口氏は『「性差」という訳は的外れもいいところ』とまで言う)
上野先生によれば「ジェンダー」は国際的に認められた学術用語であり、
下の方の「何かの省略形」という説明は「?」ですけれど。
2.この本にあるgender-freeの検索結果は沢山ありましたが、
文章の書き方的なものが多く、ジェンダーフリー運動とはあまり関係がないようです。
3.医学の上でのgenderは「Gender differences in treatment of heart failure and acute myocardial infarction」
(急性心筋梗塞における治療の性による違い)という論文が手元にあるため、
確かにgenderは医学の上ではSEXとの意味の差がほとんどありません。
また、ジーニアス英和辞典にはgenderの第2義として、
『<<略式・古>>(生物学的)性(sex).』とも書いてありますので、
genderは古くから生物学的性の意味でも使われていたようです。
しかし、そんな細かいことにとらわれずに読み進むならば、
女性が生き易い世の中になるために有益な本だと思います。
買ってよかったと思いました。
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「ジェンダー」の危機を超える!: 徹底討論!バックラッシュ (青弓社ライブラリー 45) 単行本 – 2006/8/23
バックラッシュに反撃する! 男女平等や性の自己決定を主張し市民権を得ているジェンダーという概念に対して、全国で曲解や歪曲に基づく批判=バックラッシュが巻き起こっている。それらの反動性を徹底的に批判し、ジェンダー概念の深化を探る。
- 本の長さ307ページ
- 言語日本語
- 出版社青弓社
- 発売日2006/8/23
- ISBN-104787232622
- ISBN-13978-4787232625
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商品の説明
著者について
1935年生まれ。ジェンダー文化研究所長、千葉大学名誉教授。専攻はジェンダー美術史。著書に『戦争とジェンダー』(大月書店)、『お姫様とジェンダー』『象徴としての女性像』『戦争がつくる女性像』(すべて筑摩書房)など。
1963年生まれ。明治学院大学教員。専攻は社会学、ジェンダー論。著書に『性現象論』(勁草書房)、『〈恋愛結婚〉は何をもたらしたか』(筑摩書房)、共著に『図解雑学ジェンダー』(ナツメ社)など。
1961年生まれ。大学非常勤教員。専攻は社会学、エスノメソドロジー、ジェンダー研究。共著に『相互行為の社会心理学』(北樹出版)、『意味と日常世界』(世界思想社)、論文に「ラディカル・リフレクシヴィティとエスノメソドロジー」(「ソシオロジスト」第1号、1999年)など。
1955年生まれ。「ふぇみん」編集部。夫婦別姓選択制の導入や婚外子差別の撤廃などに取り組む。共著『シングルマザーに乾杯!』(現代書館)など。
1963年生まれ。明治学院大学教員。専攻は社会学、ジェンダー論。著書に『性現象論』(勁草書房)、『〈恋愛結婚〉は何をもたらしたか』(筑摩書房)、共著に『図解雑学ジェンダー』(ナツメ社)など。
1961年生まれ。大学非常勤教員。専攻は社会学、エスノメソドロジー、ジェンダー研究。共著に『相互行為の社会心理学』(北樹出版)、『意味と日常世界』(世界思想社)、論文に「ラディカル・リフレクシヴィティとエスノメソドロジー」(「ソシオロジスト」第1号、1999年)など。
1955年生まれ。「ふぇみん」編集部。夫婦別姓選択制の導入や婚外子差別の撤廃などに取り組む。共著『シングルマザーに乾杯!』(現代書館)など。
登録情報
- 出版社 : 青弓社 (2006/8/23)
- 発売日 : 2006/8/23
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 307ページ
- ISBN-10 : 4787232622
- ISBN-13 : 978-4787232625
- Amazon 売れ筋ランキング: - 585,832位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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2006年9月9日に日本でレビュー済み
1.「ジェンダー」を「性別」そのものの意味で使うこともあれば、「(社会的)性差」の意味で使うこともある、というだけの話。確かに厳密には「ジェンダー=性別そのもの」「ジェンダー・アイデンティティ=性別同一性(性自認)」「ジェンダー・ディファレンス(性別差、ジェンダー差)」「ジャンダー・ロール(性別役割、ジェンダー役割)」とすべきであり、これらを省略形で単に「ジェンダー」と呼ぶのは不用意かつ安易な誤解の呼び水になりやすいので望ましくはないが、間違いとか誤訳とかいう種類の問題ではない。また日本語の問題として「差」より「差異」が望ましいが、この点にこだわるのは揚げ足取り以上の意味はない。
2.googleで"gender-free"を(ハイフンも含めて)フレーズ検索したら12万9千件ヒットしましたが……。いずれにしても細かい点。
3.驚きの新説かつ珍説。WebsterにもOEDにもそんなことは書いてありません。ただし、Websterには、「もしかして?」と思える例文(「胎児」という語を含む)があるので、たぶん何か独創的な勘違いをされたのだと思う。
大まかに言って、genderという語は大昔は「種」の意味、近代では文法的性別(男性名詞、女性名詞、中性名詞)、現代に「性別」という意味に転用されたという事実に異論を唱える辞書、文献を私は知りません。
2.googleで"gender-free"を(ハイフンも含めて)フレーズ検索したら12万9千件ヒットしましたが……。いずれにしても細かい点。
3.驚きの新説かつ珍説。WebsterにもOEDにもそんなことは書いてありません。ただし、Websterには、「もしかして?」と思える例文(「胎児」という語を含む)があるので、たぶん何か独創的な勘違いをされたのだと思う。
大まかに言って、genderという語は大昔は「種」の意味、近代では文法的性別(男性名詞、女性名詞、中性名詞)、現代に「性別」という意味に転用されたという事実に異論を唱える辞書、文献を私は知りません。