西田幾多郎・鈴木大拙・西谷啓治に田辺元という、近代日本哲学史上の著名な人物の思想を、肉親の死との遭遇を手がかりとして読み解いた一冊である。子であり、親であり、妻であり、そうした親しき人の死に直面したことが、彼らの思想にどのように反映しているのか。加賀・能登出身の同郷人にして友人関係もしくは師弟関係にあった前三者は、必ずしも死そのものをその思想の全面に立ててはいないけれども、そこには親しき者の「二人称の死」の経験が確かに反映している。著者はそのように読み解く。
そうした読み解きの最後に、晩年「死の哲学」の構築に取り組んだ田辺元が取り上げられているのも実に自然な流れと言えよう。死者と生者との「実存共同」を考える田辺晩年の思想は、著者が挙げるようなターミナルケアやグローバル化と伝統との関係の問題に取り組むカギとして注目に値するだけでなく、自らの問題として死を考える手引きともなるだろう。
「近代における死」についてもそもそ考えている評者としては、今まで読まずに見過ごしていたのは迂闊であった。
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二人称の死: 西田・大拙・西谷の思想をめぐって 単行本 – 2003/4/1
浅見 洋
(著)
- 本の長さ260ページ
- 言語日本語
- 出版社春風社
- 発売日2003/4/1
- ISBN-104921146756
- ISBN-13978-4921146757
商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
石川県が生んだ世界的思想家・哲学者を取り上げる。彼らはいかに独自の思想を形成していったのか。その根底に肉親の死という深い悲しみがあったことを明らかにする。
登録情報
- 出版社 : 春風社 (2003/4/1)
- 発売日 : 2003/4/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 260ページ
- ISBN-10 : 4921146756
- ISBN-13 : 978-4921146757
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,151,146位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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