... 眞空地帯を形象化しようとした。かういふ眞空地帯は、どうして私小説的な告白形式や現實描寫によつて描けるでせうか。芥川龍之介は眞空を保つためのガラス壁として物語の枠をぜひとも必要としたのであります。注意して謹んでごらんなさい。主題の如何にか ...

... 真空地帯の上に虹がかかる。彼はその虹の上をわたって地帯の外へでて行くのだ。兵いうのは、そう簡単になれるもんやないですよ......。その方は、はじめからあきらめてもらわないとこまるな。」しばらくして田は時子の方を放ったまま一寸わざとらしい言葉 ...

... 眞空地帯』の個々の人物や場面や事件がどれほど精確であるかを調べてみることは無意義ではない。また學者が『眞空地帯』から日本軍隊研究のための素材をたくさんひきだして来ることも可能であり、意味のない仕事ではない。ただそれだけでは一個の文學作品 ...

... 眞空地帯」に行く前に、名は忘れたけれども、つまらぬ短篇をだいぶ書いてますよ。武田麟太郎を下手にしたようなものを書いて ... 眞空地帯」では、それがハッキリ出て来ている。手塚僕が「眞空地帯」で感心したのは、サンボリズムや近代藝術の世界を潜って ...

... 眞空地帯」を創りだすのに、かれはストーリーの意義を発見したのである。小説家の誕生というべきだろうか。「眞空地帯」は、野間宏の代表作ばかりでなく、質量ともに戦後文學として第一に指を屈せられる作品であろう。この作品以前にも、質的にさまざまな ...

... 眞空地帯、と嫌忌された軍隊で、教えられた言葉だった。冒頭の戦争が終 n 始安心して眠れるようになった、生きるよろこびを語った後に、次のように綴られていた。平隊というところはものごとをおそろしくはっきりさせるところだ星一つの二等兵のころ教育 ...

... 眞空地帯」においてどういうふうに展開して行くかということが、「眞空地帯」の眞空を叩き割る一つの具體的な方法である。これは野間宏のもう一つの作品、「青年の環」の中に現われている。あの中では、人民戦線戦術が日本のコンミュニスト、及び進歩的 ...